白のラナ・ターナーに惚れた。
同名小説が原作でたくさん映画化されているけれど、古典作品で衣装といえばこちら。当時日本未公開だったみたい。
ロスの郊外のダイナーを舞台にオーナーの妻コーラに一目惚れしたフランクが彼女と不倫しやがてオーナーを殺害、そして現在に至るまでの回想式で進むフィルムノワール。
大きく2つの構成に分かれていて、
オーナーのニックが死ぬまでが前編、その後の裁判や2人の行方までを描いたのが後編。
何が面白いかって、
やっぱりフィルムノワール的な回想形式だからこそ、フランクを通してみたコーラが美しいこと美しいこと。
多分照明とかにも力入れていて、コーラ役のラナ・ターナー、かなりハマリ役。
しかも声色優しい感じだったんだね笑
そしてコーラは悪女といえば悪女だけれど、実際作品を通してみるとそこまで過激な感じはなかったなぁ。
特に衣装戦略が上手くて、デザイナーが女性のアイリーンだったからなのか、コーラは基本的に全身白コーデなのね。
で、イレギュラー的にコーラが黒を纏う場面が3つあって。
夫のニックとの未来を憂いで自殺しようとしたとき、母親の死で喪に服しているとき、そして告発状をネタにゆすられていたとき。
多分コーラにとって心情の変化が起きたとき、あるいは転機みたいな瞬間に黒が挟まれるのだけど、それがすごく印象的で白黒映画では効果的だなと思った。
あとは口紅を塗る仕草が度々登場するんだけど、小さなセックスアピールだなぁって。キスを誘う瞬間、切ないながらそれはフランクと出会ったときと別れるときに反復されたんだけれど。
展開が二転三転と転んでいって、テンポがスムーズで良かった。
ハリウッドのフィルムノワールは、やっぱりヨーロッパと同様にリアリズム的な死を迎えたり、あるいは非情な結末で終わる作品ももちろんあるけれど、その一方で愛ゆえに、みたいななんだろう、観客に感情移入してもらう余白が意識的に作られているね。
プロダクション・コードの兼ね合いで、あからさまなセクシーすぎる悪女は描きにくいからラナにあえて白を着せたというエピソードもあるように、スターが出ている以上、ヒットさせるための工夫がなされているなと思いました。