horahuki

バスケット・ケース3のhorahukiのレビュー・感想・評価

バスケット・ケース3(1992年製作の映画)
3.4
2人だったら双子。
3人だったら三つ子…って数えますよね。
じゃあ一度に12人生まれたらなんて呼べばいいの??

…というわけで『バスケット・ケース』シリーズ3作目にして最終作。前作の衝撃のラストから数ヶ月。酷いことしたドヴェインに激おこ状態のベリアル兄ちゃんでしたが、イヴとの間についに子どもが生まれます!それも冒頭に書いた通り12人も。全員がへその緒と思われるもので数珠つなぎになってて笑った。こんなにいっぱいどこに入ってたんだよ!

見た目が違うからという理由で彼らを人間として見ようともしない保安官たち。フリークスに対しては何をしても良い…というより「ノーマル」な保安官たちにとっては「人間」ではないフリークスは駆除するのが当たり前で、フリークスを殺すことこそが正義だという危険な思想が根底に見え隠れする。そしてその考えに疑問のカケラも抱いていないところに、人間の凝り固まった価値観こそが悪の元凶だとする監督の意図が色濃く反映されてるのだろうと思います。

人目を忍んでひっそりと暮らしていたフリークスだったけど、その安住の地に土足で踏み込んでくる「ノーマル」たち。「ノーマル」で無ければ平穏に暮らすことすらできないのか…。化物と罵られ、蹂躙され、奪われる。「生きる」こと全てを否定され、対話の土俵にすら上がらせてもらえないフリークスが「忍ぶ」ことをやめる決意を固めるのが本作の本筋。「NO ONE YOU KNOW」を卒業する彼らには少しワクワクした。

フォローしてる方のレビューで見てめちゃくちゃ共感したのですが、確かに彼らはX-MENだった。あちらは多少の特別枠はありつつも基本的に美男美女しか入れない顔面審査があるわけだけど、こちらは見た目に拘らないあたり器が大きい!というか本作の「我が家」が本来のあるべき姿だよね。顔面至上主義のX-MENは見習うべき。

首を絞めただけで目ん玉飛び出て首がペチャンコになったり、キスして唇どころか頭全部そのまま引きちぎる豪快さとか、洪水のような破水のダイナミックさとか、とにかくふざけまくったアホな演出が堪らなく楽しい。

闇の中の照明に照らされた霧が立ち込めたクライマックスの舞台はゴシックホラーのような空気感を纏っていて、ハマーフィルムやバーヴァ、コーマンの作品へのリスペクトを感じてテンション上がったし、そんな中で現れる『エイリアン2』を思わせるアレの登場には笑うしかない(笑)やっぱりヘネンロッター監督はすっごいセンスの持主だわ。

これで『バスケット・シリーズ』は終了ですが、面白さは順当に1→2→3って感じでした。やはり1は圧倒的ですね。
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