TAK44マグナム

コマンドーRのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

コマンドーR(2008年製作の映画)
3.6
寒い国でもコマンドー!!


アーノルド・シュワルツネッガー史上、最も第三次世界大戦な映画と言えば、そう!
言わずと知れた「コマンドー」であります!
「コマンドー」と言えば、我が国でもテレビ放送があればネットでの実況が大盛況になるほどの人気を誇る偉大なB(ボンクラ)級大作ですが、そんな「コマンドー」の歴史上初めて、日本語吹き替え版が1日かぎりの劇場上映されるんです。
無事にチケットがとれまして(とってくれたのはフィルマークス伝説の方ですが・・・)、通常上映の方に参戦するということで(絶叫上映は瞬殺だったらしいです!)、何だか最近コマンドー熱が上昇中なのです。

そこで!
少し熱を冷まそうぜ!とチョイスしたのが本作!
「コマンドーR」!!
世界中いたるところに「コマンドー」のファンは存在してまして、北の大地にも「コマンドー最高!」と声高に叫ぶ輩がいました!
叫ぶどころか、自身が監督・主演の「コマンドー」もどきを作ってしまったその男の名は、ミハイル・ポレチェンコフ!
愛称は、(たぶん)ポレちゃん!
ロシア軍出身の、ホンマもんの元軍人さんが実の娘まで巻き込んで(誘拐される娘役で出演)、「シュワちゃんにも出来たのだから俺様だってメイトリクスのように戦えるはず!」と一念発起してしまった結果、メイトリクス以上に無敵すぎる豪傑イワンが暴力で全てを解決する本作が完成してしまったのです!

内容については、「コマンドー」を参照すればよろしいぐらい、ほぼほぼそのまんま。
悪党に娘ちゃんを拉致られた無敵超人が無理難題を突きつけられますが、限られた時間内に敵の居場所を特定、完全武装でカチコミをかけて漏れなく全員を処刑!
無事に娘ちゃんを助け出す・・・といった第三次世界大戦なお話を、そっくりそのまんま頂いちゃってますね。
もちろん、ロシアが舞台なのもあって細部には変更点が大小多々ありますが、8割方は「コマンドー」と一緒といっても過言ではないでしょう。
なんなら出だしからして同じですし!

しかし、全体的にコメディ色が濃くなっており、更にヒロインに大した意味もなく水着を着させたり(レイ・ドーン・チョンさんには失礼かもしれませんが、ヒロインのルックスは本作の方が優っているかと)、総じてオリジナル版よりも緩くて、軽いですね。
オリジナル版と観比べて変更点を探すのも、本作ならではの楽しみ方かも?

ロシア映画だからか、やたらとタルコフスキーを引き合いにだすのも興味深かったですな。
「惑星ソラリス」がテレビに映っていたり、芸術よりも娯楽だよ、みたいなセリフがあったり。
芸術性の高い映画製作がロシアでは主流なのか、「俺たちは娯楽作が、「コマンドー」みたいに眠くならない映画が大好きなんだよ!」というメッセージを込めているのかもしれません。


それとですね、オリジナル版も気持ち良いぐらいにテンポが良くて爽快な映画でしたが、本作はそれに輪をかけてテンポがメチャクチャ早いのが特徴。
感覚的に1.3倍速ぐらいで観ているような気になります(苦笑)
ギャグ(なのかどうなのかは微妙)をいれたりしている代わりにアクションシーンは本家よりも随分と淡白でありまして、ポレちゃんが強すぎるので雑魚なら一発KO!
例えば、オリジナル版ではモーテルでシュワちゃんと戦うのは黒人のクックでしたが、本作になるとロシアということで黒人ではなく、若かりし頃のヒュー・ジャックマンにちょっとだけ似ている悪党に変更、雰囲気的には非常に強そうだったのに瞬殺です!
シュワちゃんとクックのバトルは隣の部屋のカップルもビックリさせてしまうほど激しく格闘していたのですが、重ねて言いますがヒュー・ジャックマン似は瞬殺です(苦笑)!
そんなだからヒュンヒュンと物語は先へ進み、いつの間にやら孤島にある敵基地へ突入を開始するポレちゃん!
「コマンドー」と言えばコレ!な漢の出勤態勢である武装お支度シーンも何となくコピーしております!
乗り込んでからもシュワちゃん譲りの大爆発!
どこに娘ちゃんが監禁されているか分からないのに全部爆発させます!
そして、自分はだだっぴろい所の真ん中でマシンガンぶっ放しているのに敵の弾はカスリもせず、ただただ敵兵だけが蜂の巣に!
シュワちゃんでさえ、もう少し隠れながら戦ったような気がするのですが、ポレちゃんはどこまでも威風堂々、撃っているだけ!

いよいよ敵の本拠地にカチコんだポレちゃん!
そこで、まず待っていたのが、悪党政治家に基地を間借りさせていた日本人将校!
そう、日本人です!演じているのが日本の方なのかどうかは微妙ですが、どこかデューク真田っぽさも感じようとおもえば感じられる風貌の日本人将校が立ちはだかりますよ!
これはオリジナル版に無かった新要素ですね。
なんと、この島は北方領土の一部らしく、日本人将校は密かにカニ漁を支配しているという設定!
しかも、旧日本軍の軍服です!
こいつら一体なんなの?!
時代錯誤感がすごくてクラクラしてきます!
まあ、この日本人も出てきたは良いのですが、ギャグとして扱われた挙句に瞬殺です!
意味がねえ!!

その先は、ベネットの真似してSMっぽいコスチュームを着たプロレスラーくずれみたいなアホとの因縁バトルやら、悪党政治家のアホすぎる爆死などがあって、ポレちゃんは娘ちゃん&無理やり連れてきたヒロインと一緒に帰るのでした。
悪党政治家の死に様は違いますが、唯一、本家よりもここは洒落ていたと思います。
あと、ニセベネットの殺され方も全然違うのですが、これはこれでマンガチックで笑えるのでアリでしょう。
ただ、あんなんで死ぬかな?と思っちゃいましたが・・・(汗)


まだ「コマンドー」を未見の方は、シュワちゃんのオリジナル版を鑑賞してからポレちゃんのリメイク版を観た方が確実に楽しめますよ!
想像したよりも、ちゃんと「コマンドー」をリスペクトしているので、お寒いギャグには目をつぶってトライしてみてくださいね!


・・・それにしても、「コマンドー」熱を少し落ち着かせようとチョイスしたはずなのに、ついつい火に油を注いじまったぜ!
もっと何か「コマンドー」はないのか?!
「コマンドー者」はどこかで観られないのか・・・


※以下、追記です。

本家「コマンドー」の吹替版特別上映を観てきました!
それはもう面白かったのは言うまでもないのですが、改めて本家を鑑賞して、「コマンドーR」で気がついたことがあります。

それは、ショッピングモールだった部分をウォーターパークに変更した理由についてです。
最初は、たんにヒロインを水着にさせてお色気度を加えようとしたのかと本気で思っていたのですが、本家は30年も前の映画なので携帯電話が普及するずっと前なんですよね。
そうなると、本家だとサリーがメイトリクスを目撃して報告しようと電話ボックスに駆け込むわけですが、現在なら携帯電話(スマホ)ですぐに連絡がついてしまうのです。
そうなるとメイトリクスはどうしようもなく、つまりこの展開だと話が成り立たなくなってしまいます。
だから、携帯電話が手近に無い状況を自然に作るため、舞台をウォーターパークに変更したのだろうと思いました。
まぁ、エロ目的も多少はあるかもしれませんが、あくまでも携帯電話問題をクリアするため・・・だと信じたいよ、ポレちゃん(汗)!




セルDVDにて