TAK44マグナム

ロスト・ウィークエンドのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

ロスト・ウィークエンド(2008年製作の映画)
3.1
もう、何がなんだか・・・


「ルール」のジェイミー・ブランクス監督、主演は「オーロラの彼方へ」のジム・カヴィーゼルと「デイブレイカー」のクローディア・カーヴァン。
出演者は、ほぼこの二人だけです。あとはバーの場面で出てくる数人と、最後にちょろっと出てくる一人だけ。
ワンちゃんも出てきます。なかなか可愛い。

これ、同名作品のリメイクにあたるのですけれど、オリジナル版は未見です。
ジャンルとしては超常スリラーでしょうか?
正直、観終わってもフワフワしていてよく分からないお話なので、ジャンルわけも意味ないような気もします。

不仲の夫婦の喧嘩をずっと見させられ、あとは思わせぶりな事が起きるだけ。何か起きそうで起きない。
終盤に入るとようやく直接的な恐怖が描かれますが、起きている事の「正体」は依然わからないまま。
荒らされたキャンプ場、ジュゴン、そして・・・?

なんだか釈然としない内容に、謎めいた雰囲気に惹き込まれるか、それとも途中で投げ出したくなるか、人によって評価が分かれる映画だと思います。
個人的にはラストまで見入ってしまいましたが、面白いかと問われると非常に困るというか、手放しにお勧めできる代物でないことは確かですね。


とある理由からギクシャクした関係になってしまっている一組の夫婦。
自分勝手なところがあるが何とか関係を修復したいとは思っているピーター。そして気難しい性格のカーラ。
インドア派のカーラを説き伏せて、ピーターは連休をムーンダービーチでキャンプすることに。
1万ドルもするテントやサーフボード、ライフルや水中銃まで持って出発しますが、一緒に過ごす予定の友人たちと合流するはずが道に迷ってしまいます。
仕方なく車で夜を明かすと、ビーチはすぐそこでした。
嬉々としてキャンプの準備を始めるピーターにイライラしてしまうカーラ。それでも二人でビーチに行きますが、ますます険悪になってゆきます。
海で泳ぐピーターにむかって吠え始める飼い犬のクリケット。
カーラが見ると、海に何者かの黒い影が。
訝しがったピーターが急いで浜にあがり事なきを得ますが、カーラはどこか不穏な空気を感じ始めていました。
赤ん坊のような泣き声。何故か発射される水中銃の銛。ワシやヘビ、そして湧いてくる蟻さん・・・
浜に打ち上げられた異様な者とは?
カンガルーを轢き殺し、ゴミをポイ捨てし、ワシの卵を割り、ライフルを遊びで撃ちまくってみる・・・そんな自然を軽視した二人の行動が邪悪な「何か」を呼び寄せているのか・・・?!
ピーターとカーラの関係が最悪に達したとき、恐るべき事態が二人を襲うのでした!
はたして、何が起きているのか(観ているこちらにも)さっぱり分からない悪夢から逃れる術はあるのでしょうか・・・?


とにかくよからぬ事が起きていることは明白なのですが、それが一体どういうことなのかは説明されませんので、きっと観た方それぞれで判断してください・・・というタイプの映画なのでしょう。
あり得ないこともちゃんと起きる反面、ヘビや蟻は森なのでいくらいてもおかしくはないし、ワケがわからないまま夫妻が自滅するだけの映画ともとれます。
自然の怒りなのかもしれない。そうじゃないのかもしれない。
ただただ不穏さだけが世界を支配しているのです。
もしかしたら、夫婦たるもの仲良くしていないと駄目ですよという、親切な警告なのかもしれません。

中盤まで、これといった仰天シーンがなく淡々としているため眠くなりそうですが、終盤にはショックシーンがちゃんと用意されております。
序盤の「ある事」とリンクしたラストは、ありふれていると言えばよくある締め方ではありますが後味の悪さは特筆もの。

なんだか気怠さをおぼえるような、奇妙な味つけの一品でした。


NETFLIXにて