阪本嘉一好子

エリート養成機関 ナポラの阪本嘉一好子のレビュー・感想・評価

エリート養成機関 ナポラ(2004年製作の映画)
4.9
この映画鑑賞後:誰でもが自分のままで生きていける時代を作るのが我々の使命だと思った。
1942年、ナチスの英才教育と選抜エリート士官になるためのNAPOLA. ここにボクシング推薦で入学した労働者階級の主人公、フレデリック。彼は父親の反対を押し切ってもボクシングでナチスのエリートコースに。かたや、ナチス幹部の文才のありすぐ17歳になる子息アルバートも入学し、書斎をあてがわられるほどの特別待遇。でも、寝る場所は主人公の隣になり同様に訓練を受ける。フレデリックはアルバートの書いた父親が読まないエッセイを読む意思を見せたことで二人の交友関係が深まっていく。

初めて、学内訓練以外で外に出て、武器を持たないロシアの捕虜の子供を森に放ち追い詰め虐殺するシーン(私にはこのように見えた)でアルバートは傷ついた青年を助けようとしたが、甲斐なくナチス幹部(父親)に青年の息を止められた。彼は以前から疑問に思っていたが、この後から、ナチスの犯したこの行為(自分はその一員)に倫理観を見出せなく悩む。その葛藤。(I did myself good.)
その善悪で判断する倫理観を理解し始めたフレデリック。それにより勝ち負けの勝負の世界に疑問を呈するアルバート。機械のように訓練、特訓されているところに人間性が入ってくるとその人間が変わってくる。この反対はあり得ないと思うが。強靭なエリート族のリーダーをうみ出そうとしたナチスの時代、これはどの侵略国にも通じることだが。これは??? 今の社会構造にも通じることだが、男らしさ、男は強いものという時代の生産物のような概念を我々の世代でもう潰すべきだ。一番怖かった言葉が父の言葉:息子は弱かったと。