るるびっち

メアリー・オブ・スコットランドのるるびっちのレビュー・感想・評価

3.6
王位安定のため、男子誕生を望んだヘンリー八世は妻を次々と変える。
その呪いが、異母姉妹・従姪(従妹の娘)の女同士の殺し合いに発展した。
「ブラッディマリー」なる真っ赤なカクテルは、メアリー1世の名から来ている。
彼女は異母妹エリザベスを幽閉し、プロテスタントを300人処刑して「血まみれメアリー(ブラッディ・メアリー)」と呼ばれる。
自分の母親を父王から離婚させたエリザベスの母(アン・ブーリン)とプロテスタントを憎んだのだ。(王位継承の為にカトリックを味方にする必要もあった)
いつ殺されるか怯えながら育ったエリザベスは、権謀術数に長けた女王に成長する。
彼女は決して実権を男に譲らず結婚せず、生涯ヴァージン・クイーンで通す。その辺り、妻を6人も変えた父王・ヘンリー八世とは対照的。

ここにもう一人のメアリーが現れる。ヘンリー八世の姉の孫娘で、多感な娘盛りに死の恐怖に怯えて暮らしたエリザベスと反対にフランスで幸せに暮らした従姪メアリー・スチュアートだ。彼女はエリザベスとは対照的に三度結婚する。
権力と愛。
権力に生きざる負えなかったエリザベスと、女性として愛をまっとうしたメアリー・スチュアート。エリザベスにとり、自分が持てない物を全て所有する目障りな女。

メアリー・スチュアートを演じるキャサリン・ヘップバーンは、キャリア初期から独立心のある新進気鋭な女性、もしくは意思を貫く女性像を演じてきた。
西部劇の神様ジョン・フォードと、都会派キャサリン・ヘップバーンのコンビは珍しい。
しかし実はこの二人は交際していたのだ。意外な事実!!
後のフォード映画の女性像は、強い妻・母親のイメージはあるが田舎の朴訥とした女性像で都会的で理知的なものではない。
フォードが1939年「駅馬車」で西部劇作家に特化していく前の時代の作品。
「愛の勝利」を謡うのはキャサリン・ヘップバーンのお馴染みのノリ。
フォード映画というより、ヘップバーン映画の印象。
それでもフォードスタイルは、民族音楽が効果的に使われる辺りに垣間見られる。
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