けーはち

ベイブ/都会へ行くのけーはちのレビュー・感想・評価

ベイブ/都会へ行く(1998年製作の映画)
2.8
『マッドマックス』ジョージ・ミラー監督、牧羊犬ならぬ牧羊豚『ベイブ』続編。今回は早々にヘマをして飼い主が怪我、農場は借金のカタに差し押さえられそうになる。ベイブは多額のギャラを貰えるイベントに出て稼ぐことになるが、都会に出た彼らはホテルで立ち往生。そこはサーカスの奇術師と様々な動物たちが隠れ住む場所で──

「都会に行く(原題PIG IN THE CITY)」という副題だが、この「都会」とは具体的にどこという訳でなく、“HOLLYWOOD”の向かいに“自由の女神”が立ち、間に謎の高層ビルが乱立する、元々時代も場所も定かでない「昔々、ある所に……」的な「田舎」に対する「都会」概念を具現化した珍妙不思議な幻想空間である。

幻想文学的にはベイブがこの得体の知れない「都会」という異世界へ冒険に行き、現地住人に爪弾きにされながらも優しさと勇気で困難を乗り越え絆を結び、「田舎」と「都会」の2つの世界を繋ぐ架け橋になる、みたいな構成になっているんだが、生体+CG+アニマトロニクスの連携で動物たちが生き生きと動く楽しいスラップスティック・コメディを観ている間も「借金の件はカタが付いてないよね」みたいな気持ちがチラつく(元々の冒険の動機が経済的な問題なので世知辛さが足をひっぱる)し、動物たちに対し、人間とのバディ的な関係性の薄さ(ベイブと飼い主の奥さんとのエピソードのバラバラさ)を感じてしまう。またドタバタの中心が都会の事情(動物中心ではない)ってのも良さを損ねてしまっているなぁと思う。