けんぼー

スウェプト・アウェイのけんぼーのレビュー・感想・評価

スウェプト・アウェイ(2002年製作の映画)
2.5
2021年鑑賞133本目。
金をかけて作った夫婦の自己満映画。こりゃあ酷い。

ガイ・リッチー作品見直し期間ということで、本作の原作である『流されて・・・』を予習したうえで鑑賞しました。

酷い作品でした。

ガイ・リッチーらしい作劇がほとんどないし、単純に物語として面白くない・・・。
しかも原作『流されて・・・』を鑑賞した後だと、比較することでさらに見えてくる残念なポイントがたくさんあります。

まず、この作品はマドンナに向いていない、ということ。

原作『流されて・・・』で上流階級のわがまま夫人「ラファエラ」を演じた「マリアンジェラ・メラート」は美しいだけでなく、「脆さ」を感じる人だったので、クルーズの上では威張りちらかしていても、無人島では何もできず、使用人である「ジェナリーノ」にすがるしかなくなって二人の立場が逆転してしまう展開に違和感なく入り込めたんですが。

マドンナは美しくて「強い」イメージがあるんですよね・・・。

冒頭のクルーズ上のシーンでも、見事にシェイプアップされた腕を見せながらトレーニングする場面があるし。。。
「無人島でもマドンナなら一人で生き残れるだろ」って思わせるマドンナのもともとのイメージがあり、作品内でも「強い女性」を感じさせる描写があったのが大きな残念ポイントです。
それによって、ラファエラが無人島でジェナリーノにすがるしかなくなるという展開の説得力がなくなっている感じでした。

あと、マドンナを起用することで新たに生まれてしまった弊害が一つ。

作品中に半ば強引に挟み込まれる、マドンナが歌って踊るシーン。
あれは完全にノイズだし、物語の展開上全く必要のないシーンでした。でも、当時マドンナの夫だったガイ・リッチーとしては、(マドンナに頼まれたのかもしれないけど)「自分の妻を美しく撮る」ことが優先事項だったのかな。。。。

本作のもう一人の主人公である「ジェナリーノ」を演じているのが、原作『流されて・・・』でジェナリーノを演じていた「ジャンカルロ・ジャンニーニ」の息子「アドリアーノ・ジャンニーニ」という、粋なキャスティングは良かったですが。良かったのはそれだけでした。

マドンナはオンリーワンであるがゆえに、「マドンナでしかない」。マドンナはマドンナなんだということを改めて実感しました。

ガイ・リッチーとマドンナ(元)夫妻による、大掛かりなホームビデオだと思った方が良いです。お勧めしません。

2021/10/11観賞