ぬ

ぼくのバラ色の人生のぬのレビュー・感想・評価

ぼくのバラ色の人生(1997年製作の映画)
3.9
とても可愛い世界観だけど、話は苦い・・・
可愛いお人形やファッションが大好きで、同級生の男の子との結婚を夢見る小学生リュドヴィグは、男の子。
リュドヴィグは「神様が間違えて僕を女の子にしちゃった」と信じ、女の子に戻してもらえる日を心待ちにしている。
しかし周囲はリュドヴィグを理解してはくれず、家族、同級生たち、近隣住民からは「おかしな子」と非難されてしまう。

リュドヴィグの「自分は女の子に違いない」というどこまでも無邪気な気持ちと、周囲から好奇の目で観られる理由を理解できず戸惑う様子、両親の「自分の子どもが理解できない」という苦しみ、うまく行かないことばかりで、観ていてとても居心地が悪かった。
リュドヴィグの夢見るキラキラしたカラフルな空想の世界はとても可愛らしく、しかしそれとは裏腹に空想の世界でしかありのままの自分を受け入れてもらえないリュドヴィグを思うと、切なすぎる。
リュドヴィグを理解しようとせず「治そう」と躍起になる両親の様子に最初は怒りを感じたけれど、自分の子どもが社会からはみ出してしまい、トランスジェンダーであるが故に、これからもっと辛い目に逢ってしまうのではないか、という思いもあったのかな・・・

最初から最後まで全体的に、映画内で描かれる現実の世界はとてもリアルに感じた。
物語の終盤の出会いにほんのりと救われる。

リュドヴィグや、実際にいるリュドヴィグのような境遇の子が、どこでもいいからまずありのままの自分でいられる居場所を見つけられるといいな。
もちろん、学校や家庭でも受け入れてもらえる世界になるのが一番だけど、家族に理解されないなら家族じゃなくていいし、学校でなくてもいいし、服でも、映画でも、本でもいいし・・・

性別がどうとか以前に、好きに生きられたらいいのに。
好きな趣味を持ち、好きな洋服を着て、好きな人同士で結ばれる、そういったことって、本来、その人個人が自由に選択できることであるべきはずなのにな〜
ぬ