ヤマ

メイキング・オブ・ドッグヴィル 〜告白〜/ドッグヴィルの告白のヤマのレビュー・感想・評価

4.5
「メイキングオブドッグヴィル」というタイトルではあるが、実質はラースフォントリアーという人間を追ったドキュメンタリー。

彼は性格的にもっと攻撃的、独善的な男だと勝手に思っていたが実はほぼ真逆の、心の脆いか弱い不器用な人間だった。そして非常に責任感が強く、完璧を求めてしまうタイプだ。
会見で「私は俳優たちが怖い。大勢いるほど全員に公平に接することができない。それぞれによくしようと思ってもできないんだ。」という言葉を放つ。
主演のニコールキッドマンに撮影シーンのダメ出しをされ、言われるがまま撮り直す。言われたら無視できない。「自分は優しすぎる」と自嘲しながらも、頭を抱える。うーむ、わかるぞ。

この人、才能は凄いがリーダーに向いてない。とにかく弱みだらけで、内に内に問題を抱え込む。それでいて自己中になりきれない。
当然コントロールできずに出演者にはボロカスに言われてしまう。
さらに出演者の言ってることが的を得ているのがまた辛い。
言い争いの果てに「ギャラ払ってるだろ!」とか言っちゃう始末。

作品の内容から監督の人間性ってのはなかなか見えてこないもんで、こういう視点は楽しかった。

メタ的映画をさらに違う視点から観る。さらにそれを観る。面白い。
ヤマ

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