ふじぱん

メイキング・オブ・ドッグヴィル 〜告白〜/ドッグヴィルの告白のふじぱんのレビュー・感想・評価

3.8
僕はラースフォントリアー監督大好きなんですよ。

メイキング映像って、プラスの要素を押し出したり、キャストのインタビューでも作品に対して好意的に答えたりするのが一般的だと思うのだけど、
このメイキングは真逆。
キャストは現場が嫌になり愚痴をこぼしたり、監督は「俳優が怖い…」などと言い出してしまう。

「ドッグヴィル」と言う作品は一つの街の中で起こる人間関係の話なんだけど、
実際の街でロケをせず、広めのスタジオの床に「教会」「店」「家」とか書いているところに、ドアとかベッドとか簡易的な小道具が置いてあるだけの空間で撮影されている。

そのスタジオの隅にメイキング用の「告白部屋」という小さい個室を用意し、何か言いたい人はここに入って語る。
はじめは好意的なことを語っていた人たちも後半は愚痴と嘆きしかこぼさなくなる。

ラースフォントリアー監督がチームリーダーとて、目指すことと出来ることの解離が激しい方に見えた。
声小さいし、優柔不断だし、言っちゃいけないことポロっと言ってしまうし、みんなに愛想を振りまいて楽しくやってもらおうとするけど結局嫌われるし、威厳がないナメられ気質の人に見える。
頭の中にビジョンはあるからこだわりたいんだけど、こだわって撮り直そうとするとキャストにキレられる。
これが同じくこだわることで有名な例えばフィンチャーだったら絶対にこうはなってないだろう。

けど作品としては最終的に魅力的なものばかりだからなぁ。
監督はこのままでいいと思う、
役者陣もうちょっと優しくしてあげてよ。
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