キッチー

サン・ジャックへの道のキッチーのレビュー・感想・評価

サン・ジャックへの道(2005年製作の映画)
3.8
世界遺産にも登録されているサンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路(フランス語でサン・ジャツクの道)を旅するちょっと訳ありの人々を映すロードムービー。

画面の中に9人が収まっているシーンが多いけど、ほとんど重ならずに確認できる映像にこだわりを感じます。何度も数えてしまいました(笑)

財産の相続をさせる条件として亡くなった母親が課した、兄妹弟全員でフランスからスペインへの聖地巡礼(1500キロ、徒歩の旅)をしろという遺言。事業に成功して金持ちだけど薬物依存の疑いがある兄ピェール、高校の教師だけど教育に限界を感じている妹クララ、酒と女が大好きだけどお金が無い弟クロード、仲が悪い3人が渋々、巡礼に参加していくところが面白い。

巡礼には案内人の男性ギィ、2人の女学生、2人の男の子、中年の女性も参加、一行は9人でスペインのキリスト教の聖地サンティアゴを目指す。

同行する参加者にもスポットをあてながら、
旅ならではのエピソードが入って、長時間一緒に行動することによる連帯感や共感、他者への理解が深まっていく。参加動機が解らない人や微妙に勘違いしている人もいるけど、そんな人でも旅という非日常の中で得るものは大きい。

非識字者の少年ラムジィと教師の取り合わせとか、差別的で裕福な男性の他者の対する感情の変化、参加者が相手を思いやる気持ちとか、伝わってくるものも多かった。

初めて見るヨーロッパ(フランスのポディエンシス街道の起点ル・ピュイからピレネー山脈を越えてスペイン再西端まで)の風景は気持ち良く、コロナで旅行が出来ない今、旅の良さについても再認識させてくれる映画。コロナ終息して自由に旅行出来る日が早く戻ってくるよう、願わずにいられませんね。
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