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ミネソタ大強盗団のtjZeroのレビュー・感想・評価

ミネソタ大強盗団(1972年製作の映画)
3.9
19世紀末の米中西部。名高い悪党ジェシー・ジェイムズも在籍していた強盗団の末路を描く。

西部劇にたびたび登場する列車強盗って、強引に土地を収奪して線路を広げる鉄道会社への反発から始まった。そのため、庶民からは嫌われず、アンチヒーローのような存在だった。対する鉄道側は用心棒としてピンカートン探偵社の腕利きたちを雇う。

…ここら辺の背景が、タイトルバックでわかり易く説明され、物語にスッと入っていける。
そこからのキビキビとした90数分。

フィリップ・カウフマンって『ライトスタッフ』や『存在の耐えられない軽さ』といった長い映画の印象が強いので意外だったけど、題材に合わせてキッチリ仕上げられる職人監督なんでしょう。

本作のクライマックス、壊れた蒸気オルガンの音色がブワーッンとサイレンのように鳴り響く中での銀行強盗&銃撃戦は、とてもフレッシュで巧い観せ方だった。

南北戦争後で、産業革命が入りこんでくる時代を描いており、ガンマンたちが初めて目にする自動車に驚いたり、野球観戦で飛んできた白球を思わず撃っちゃったりするシーンも楽しい。
その、新しい時代の風が入ってくる感じが、製作当時のアメリカン・ニューシネマの空気と呼応していて、西部劇のニュータイプに接しているような味わいがある。

音楽のデイヴ・グル―シン(ジャズ出)も、バンジョーにエレキギターをかぶせたりして、従来のウエスタン・ミュージックには収まらない新鮮な風を送りこんでいる。
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