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わが幼少時代のポルトのharunomaのレビュー・感想・評価

わが幼少時代のポルト(2001年製作の映画)
5.0
Porto of My Childhood (Portuguese: Porto da Minha Infância)

世界最高の、壮大なトラックアップ移動撮影。
世界最上の、オペラハウスでの舞台劇の撮影(『神曲』のマリア・デ・メディロス!)実感の発話、そのデクパージュ(撮影はベルタではない)エマニュエル・マシュエル(『ラルジャン』『溶岩の家』『骨』『永遠の語らい』)、軽妙な泥棒、死と愛(ピストル)、ピンクとオレンジのランプシェード。
21世紀のショーウィンドウが並ぶポルトの路上に、マルクス兄弟とその息子のようなハンチング帽の少年があらわれ、35mm 手回し撮影機で現代の世界を見つめかえしている。案外少年が監督である。ベルエポックなコスチューム・プレイは、翌年ジム・ジャームッシュが『女優のブレイクタイム』で完璧に応答していたのかも知れない。(実際いまタイムラインに来たアントン・イェルチン主演『ポルト』(2016年)という映画をジャームッシュは製作総指揮をしているようだ)途中挫折していた『エヴァの告白』をいまさら観てやってもいい気分にすらなる(心持ち好い意味です)。

『ドウロ河』
『画家と町』

「自由な着想とトレードマークの厳密な構成を伴い、マノエルは生地のポルトに戻った。すでに一九三一年に着想した最初の作品『ドウロ河』と一九五六年にカメラの背後に戻った『画家と町』がある。この二本でオリヴェイラは彼の目をとらえたものを撮影した。『わが幼少時代のポルト』で彼はもはや存在していないもの、記憶の目だけ、彼の記憶の目がいまだ見ているものを撮影する。
見えないオーケストラがミステリアスな音楽を演奏する開幕のように。」(ジャック・パルジ、二〇〇一年八月、プレスシートより)マノエル・デ・オリヴェイラと現代ポルトガル映画 (E・Mブックス)
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