真っ黒こげ太郎

DNAの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

DNA(2008年製作の映画)
4.3
「ドクター・モローの島」とは関係ないよ。(1996年版しか見たことないけど。)

そういえば1996年版はマーク・ダカスコスさんが出てたらしいんですけど何処に出てたんですかね?



昔々、かつてイギリスの流刑地だったオーストラリアのタスマニア島。
アレクサンダー・ピアーズなる男は唯一脱走に成功し、人肉を喰らい生き延びた…。
(マーベル作品に同名の男が出てくるが、多分関係ないw)

そして現在、例によって例の如くバカな若者グループがその地に足を踏み入れた。
彼らは絶滅危惧種のタスマニア・タイガーを探しに、森林の奥深くにやってきたのだ。
(一人は亡き妹の意思を継ぐために。)
車を通りすがりの村に置いて船で川を下り、森の奥に向かった一行だったが仲間の一人が何者かに襲われ、もう一人が忽然と姿を消す!!!

仲間を探そうとする一行、だがかつての流刑地だったその場所は想像を絶する地獄だった…。



タスマニアの奥深くに入り込んだ若者達が恐ろしい目に遭う、オーストラリア産の田舎ホラー。
最初はありがちなB級映画かと思ってたが、「人体の入った人肉のパイ」や「目玉の入ったワイングラス」「血で描いている相関図とタイトル」等が描かれいる本国版のポスターが凄まじかったので、鑑賞してみた。
(詳しくは各自原題の”dying breed”で検索してみてください。)
なお、今作はビデオスルーだけど本国では劇場公開されたっぽい。


上記の凄まじいジャケから、てっきり気合の入ったゴア・ホラーかと思いきや、実際はおぞましい田舎のヤバさや狂気がひしひしと伝わる超ド陰惨で生々しい雰囲気の田舎ホラーでした。


前半はバカで身勝手な若者達が村に来て迷惑をかける。
正直バカ共が45分ぐらいかけてワチャワチャしたり言い争ったりするが(因みにランタイムは92分位)、不気味な雰囲気作りが良く出来ていて割と飽きずに観れた。
例の如く村の住民はメチャクチャ怪しく「絶対こいつらヤバいだろ…」と思わせる。
タスマニアの森の中の薄暗い映像も陰惨さに一役買っている。


そして後半、謎の殺人鬼が若者達を襲い、若者達が悲惨な目に遭う。
田舎ホラーの王道展開が目白押しで、殺人鬼に襲われ、その殺人鬼が食人思考で、その森は罠が仕掛けてあって、その殺人鬼には協力者や秘密があって…。
と言った田舎が舞台のホラーで描かれる展開が、この上ない不気味なトーンで描かれる。
そしてそれと並行して、村の連中の真の顔や、若者の一人の死んだ妹の死の真相が描かれる。
実は内容自体はこの手の映画で散々描かれている程ベタなのだが、その陰惨さは他の田舎ホラーと比べても頭一つ抜けている。


そしてクライマックスのすったもんだを経て、ようやく終わり…かと思いきやかつてないぐらい最悪のバッドエンドへ突入!!!
絵面以上に、残酷で非道な結末は後味最悪!!


あそこで死んだ方が良かったのに助かってしまった…。
そして要所要所で出てくる子供の正体は…。
あと最後のテロップが何か実話っぽいんだけど…まさか実話じゃないよね?


なお、あちこちに痛々しいスプラッター描写もあるし、ウサギや犬が惨殺される惨たらしい場面もあるが、意外にも直接的なスプラッター描写は少な目。
しかし、要所要所で出てくる悲惨な死体描写や痛々しいシーンは本作の陰惨さの表現として見事。
吊るされた死体や、血生臭そうな調理台等、直接的な描写はなくとも、実に残酷な雰囲気を醸し出していた。


そんなこんなで田舎ホラーでも頭一つ抜けたドス黒さを放つ本作。
話自体はベッタベタだし、前半45分は人によっては退屈かも。
残酷描写がマイルドな点等気にある場面はあるが、最後の最後までイヤ~な気分にさせてくれる陰惨さや不気味さで見せ切る田舎ホラーの佳作。

欝な気分になるかもしれませんが、偶にはこういう重ためな内容が見たい時にでもどうぞ。(過度な期待は禁物ですが。)