陰謀論者X

SF核戦争後の未来・スレッズの陰謀論者Xのレビュー・感想・評価

5.0
1980年代前期の東西冷戦下、イギリスBBCで製作されたテレビ用映画。この手の「核兵器の恐ろしさ」を描いた映画としては、米で同時期に製作された「ザ・デイ・アフター」があるが、この作品は東西両陣営による全面核戦争でイギリスの都市が核攻撃を受けてからの十数年後までを冷徹な視点で描いている点が、その記録映像的な編集も相まってリアルな恐怖を見ていて感じました。核兵器の恐ろしさは爆発時の熱・衝撃波・その後の放射性物質を大量に含んだ死の灰に限らず、核攻撃によって社会構造そのものが完全に崩壊した後に、放射能汚染による明らかな悪影響を人体に受けながら文明の残り滓にすがるようにして生きるしかない市民の悲惨な姿を活写している描写で痛感出来る。自分がショックを受けたのは、核戦争後に生まれた少女(まともな教育など受けていないのでカタコトしか喋れず、人間らしい感情が希薄)が子供を孕み、膨れた腹を抱えてガレキの街を彷徨いながら辿り着いた粗末な診療所で奇形児を出産するシーン。その後も連鎖するであろう地獄に恐怖するしかない反戦映画だと思います。

0721追記
filmarlsの通知でこの作品がレンタル開始されている事を知り、Amazonで迷わずBlu-rayを購入しました。手元にいつでも見られるメディアを残しておきたいと思わせるパワーを持った作品です。通知で気付けなければそのまま売り切れになっていたかもしれません。filmarksに感謝😇
陰謀論者X

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