踊る猫

踊る猫の感想・レビュー

2016/10/25
71フラグメンツ(1994年製作の映画)
3.8
挑戦的な作品だ。なんなら挑発的と言っても良いのだろう。一応は大学生が銀行強盗を行い自殺する事件が描かれているのだが、そこに難民や義理の家族、冷え切った関係の夫婦や親子の話が絡み合い、しかしそうした明らかに本筋とは無関係な「断片(フラグメンツ)」を語る意図はあからさまにされない。いや、そもそもミヒャエル・ハネケは銀行強盗の話すら表現したくないのではないか。たまたまこれは観た私が頭の中で偶発的に繋がるパズルのピースの産物であって、人に依っては別のピースの産物が頭の中で繋がるのだろう。ハネケ節とも言える長回しもまた見事で、難解ではあるのだけれど(観終えたあと苦行を強いられた気分なのだけれど)、スジ自体よりショットひとつひとつの鮮烈さが頭の中に残留し続ける。なんの感情も喚起させない、音楽で言えばオウテカの作品のようなものか。