「71フラグメンツ」に投稿された感想・評価

挑戦的な作品だ。なんなら挑発的と言っても良いのだろう。一応は大学生が銀行強盗を行い自殺する事件が描かれているのだが、そこに難民や義理の家族、冷え切った関係の夫婦や親子の話が絡み合い、しかしそうした明らかに本筋とは無関係な「断片(フラグメンツ)」を語る意図はあからさまにされない。いや、そもそもミヒャエル・ハネケは銀行強盗の話すら表現したくないのではないか。たまたまこれは観た私が頭の中で偶発的に繋がるパズルのピースの産物であって、人に依っては別のピースの産物が頭の中で繋がるのだろう。ハネケ節とも言える長回しもまた見事で、難解ではあるのだけれど(観終えたあと苦行を強いられた気分なのだけれど)、スジ自体よりショットひとつひとつの鮮烈さが頭の中に残留し続ける。なんの感情も喚起させない、音楽で言えばオウテカの作品のようなものか。
感情の氷河化三部作の第3作目。

タイトルにあるようにこの映画は、偶然の時間序列における71の断片によって綴られている。複数の主人公、不自然なカット割り、シーン毎に挟み込まれる2〜3秒の黒味、この映画には有り余るほどの余白がある。観客は劇中に出てくる複数の主人公たちの繋がりを探り、不自然なカット割りに意味を求め、提示された黒味に創造の画を妄想し始める。ハネケは観客の知的好奇心を逆手に取り、今作にあるはずのない物語性を生み出すことに成功してしまっている。観客を映画の1ピースとして組み込むことをハナから想定した、上から目線の映画作りにヤられた。ハネケの手にかかれば難民問題やマイケル・ジャクソンでさえダシになる。メディアによる真実の磨耗というダシに。

が、ムチだけでは終わらないのがハネケ。
結婚という契約に縛られ上手くいっていない夫婦のやりとりだったり、孤独に押し潰されそうな老人が救いを求める電話のシーンだったり、絶望に掻き消されそうな中、微かに見える人間への希望も映っていた。

そうだよ、ハネケは天才なんだよ。

2017-
ニュースや雑事や趣味に埋もれて曖昧になっている我々の生活は、死によってハッキリさせられる。
人と人の間には雑音が多すぎて気持ちなんか伝わらない。
私たちの日常はそれぞれのフラグメンツにが囲まれていて、それぞれの時間という軸を共有して生きている。
そのフラグメンツと時間がたまたま交差したところであの事件が起きたわけで、それはいつも常に可能性として私たちの日常に散りばめられている。

普段何の気なしにニュースで事件を見ているけど、その偶然の因子を見事に映像化したハネケのすごさ!
なーるほどねぇー
こりゃ凄いわ、となる。
71個の断片…。
メディアが流す全ては断片的だと。
誰かの一部分を切り取ったもの。
そしてその繋がりすら、人の受け止め方によって違うだろうと。
繋げる者、繋げない者。
すごく突き放された気持ちになる。
本来であれば、それぞれにとって何気ない日々、何気ない1日であって、何かの拍子に人は突然何かの衝動に駆られてしまう事もあって、計画的なものもあれば、そうでない事もあって、でも人は何かドラマがあるんじゃないか、あって欲しいと思うようになっていて、ニュースもある意味エンターテイメントで。
うむ。
この見せ方、とっても勉強になりました。
マイケルのニュースが挟み込まれる感じも凄いな…。
ていうか、実際にあった事件を基にはしているんだね…
でもフォーカスしているところはそこではないというのが、唸りどころ。
殺人の動機やバックボーンなど推測不可能だというあまりにも突き放したメッセージ性と、彼の殺人がTVで取り上げられマイケル・ジャクソンのニュースが何の残り香もなしに流れる冷たい瞬間。もうこれを見て以来殺人や自殺のテレビニュースをまともに見れない神経になってしまった。人生を変えたという点で満点
気づかないうちにハネケの
焼き回しをしていたのだと感激した。
死因や動機には意味はなく
死そのものに意味がある
関係性が気付けない関係性が崩壊していく
クリスマスの前日。19歳の大学生は銀行で銃を乱射。たまたま銀行内にいた3名が死亡。その後、犯人は自分の車に戻り、頭部を打って自殺する…。(実際に起こった事件)

断片的な映像がパッパッパっと短いものから長いものまで流れてく。何気ないこと、その人にとって大切な1日。

すごい~。おもしろすぎる~。ハネケ作品の中でもかなり好きなほうだよ~。

こういう何気ない日常の中で起きている問題。小さなものから大きなものまで。幸せなことも不幸せかもしれないことも楽しいことも悲しいことも起こってるんだよなぁ…。卓球のシーンとか、あぁ最高だよ~。

様々な人間の日常を描いているんだけど、どれももちろん幸せさ。幸せなんだけどどっかに闇とか不安の爆弾みたいなものを抱えていてそれがいつ爆発しちゃうんじゃないか。ってずっと怖かった。その爆弾ってのは誰にでも当たり前にあっていつ火がつけられるかわからんなぁと思った。

断片的な映像。何気ない会話。音楽少ない。長回し。ラストへゆっくり向かって行く感じ。全てが好みすぎ!
“感情の氷河化”三部作制覇^^

なんともハネケ的で良かったです。
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