この監督だったら『少林寺三十六房』が有名だが、個人的にはこの『少林虎鶴拳』の方がずっと面白く感じた。親子二代に渡る復讐劇、カッコよさと謎の股間技を兼ね備えたカンフーアクション、そして何よりロー・リエ演じる白眉道人の存在。ふざけてるとかではなく、ちゃんと面白いカンフー映画になっている。
まず最初で度肝を抜かれる。主人公の師匠と白眉道人が戦うシーン。師匠が白眉道人の股間を蹴った瞬間、股間の中に足が吸い込まれそのまま引きづられるという。素晴らしいの一言だ。しかもこの技が主人公が克服すべき技として扱われるのだから、なんかもうすごいとしか言いようがない。
だが、普通に面白い部分もある。結婚やら子育てやらはコント風に描かれるが、ずっと主人公が宿敵を倒すことに執念を燃やしているため、脱線し過ぎることもない。そして息子が父の仇を討つために、父の虎形拳と母の鶴形拳を合わせて白眉道人を倒すという熱い展開。カンフーアクションもキレッキレかつ遊び心もあるため、とにかく観てて楽しい。
やはり白眉道人という名キャラがいるからこそこの映画は面白くなったのだろう。威厳ある仙人のような見た目ながら、いやらしさを感じさせるあのキャラクター性。『キル・ビル Vol.2』で登場したのも納得。敵キャラが魅力的だと映画が一段階面白くなるものだ。カンフー映画はそこまで観たことないが、今のところ一番カンフー映画かも。
