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ジャンボ・墜落/ザ・サバイバーのhorahukiのレビュー・感想・評価

3.6
『アンブレイカブル』の元ネタ!?
…と一部で言われたりしている心霊ホラーで、飛行機墜落事故から唯一生き残った機長が墜落の原因を探っていくことで自分が生き残った理由を知るという物語。

『アンブレイカブル』というよりかは同監督の別映画に大きく影響を与えているのは間違いないでしょう。そしてその大元である傑作カルトホラー『〇〇の〇〇』の流れを汲むような位置付けになるのだろうと思います。どっちも重大なネタバレになるので作品名を書けないのが悲しいけど…。それにしてもジャケ画像ヤベェな…なんじゃこりゃ(笑)

牧歌的な風景とBGMが流れる中で遊ぶ子どもたちが空を飛ぶ飛行機を眺めるオープニングで始まる本作。そこから飛び立つジャンボの機内での乗客や操縦室の機長たちのやり取り等、平穏で当たり前な光景が映し出される。

そして、それが一気に崩れ去る「異変」の発生が非常にショッキングで、墜落しバラバラになった機体の残骸と大きな炎が燃え盛る地獄のような空間へと転落する落差のインパクトで物語に引き込まれます。

救出に来たヘリのプロペラ音、救急車等の緊急車両のサイレン音、時折起こる爆発音、そして報道記者がカメラに向かって事件を伝える声。余計なBGMを無くし、これらの音と無残な残骸の中を慌ただしく動き回る人々のみで構成された事故現場の映像が、その悲惨さの現実味を増長させており素直に怖い。そんな地獄のような中からフラフラとした足取りでひとり歩いて来る生存者のケラー機長を捉える映像は、彼の生存を喜ぶべき瞬間なのに、地獄から悪いものが召喚されたかのような恐ろしさをも感じさせる。

その後も演出は優れているものが多い。森の中で少女に翻弄される恐怖シーンは死へと誘われる嫌な感覚を呼び起こされるし、非日常的存在を否定するためにそれに近づくという行動を取ってしまう人の心理をうまく利用している。そして気づいた頃にはもう出口はなく、死の世界へと入り込んでしまっているわけです。

ただ、いくつかある恐怖シーンは「ホラーだから」というところが先行してしまっていて、物語に馴染んでいるとは言い難い。確かに自分の死を飯の種にしようとするハイエナに対する死者からの怒りという点では恐怖シーンとする理由づけは納得がいくものではあると思います。でも死者からの怒りとして向かうべく相手は別にいるわけで、そこに必然性を感じないから浮いてるように思える。それと辿り着く真相もイマイチ納得のいくものではない等、物語的には違和感が残ってしまう作品でもありました。

全体的には映像・演出は見どころが多いので、『アンブレイカブル』が流行ってるこの時期に合わせて見ても良いのかなと思います。面白かったです。