原題は「ロッコとその兄弟」
イタリア南部の田舎町から未亡人である母と4人兄弟が、長男の住むミラノへやってくるところから物語は始まります。
イタリアママンの愛情深さと、貧しいながらも兄弟たちの頑張る話。
けれども都会ではそうそう、うまく話が運ぶわけもなく。
アラン・ドロンが三男ロッコを演じており、これでもかという美しさ、純粋さ、優しさを表現し、ひたむきな演技が素晴らしいです。
邦題の「若者のすべて」にはロッコと、ロッコとは対照的な脆くて弱い次男シモーネの性質が詰まっていました。
ヴィスコンティといえば貴族、バイセクシャル、ひたすら美というようなイメージがつきまといますが、彼が戦争中にイタリア共産党へ入党したりこの作品からも社会に対してある種、真面目に考えていたことがわかります。
家族だからこそ許せること、許せないこと、兄弟間の嫉妬。
初期から彼は家族というものが単なる団欒と愛情だけでないことをシビアに描いていたんですね。
とても引き込まれました。
名作です。