あらんしほん

若者のすべてのあらんしほんのレビュー・感想・評価

若者のすべて(1960年製作の映画)
5.0
どうしても上手く言葉にできない。文章にできない。

若者のすべてという題名、泣いているアランドロン。
初めて見るアランドロンがたくさんいた。

今までアランドロンといえばまるで二重人格者のような
ギラギラとした黒さ、華やかさ、危うさ、嫌味さ、お茶目さ、
一般人にはない突出した何かを持ち
あぁ、どんなことがあってもこの人はスターになるべくしてなった人なのだと思っていた。

でもこの映画の中のアランドロンは体温を感じる。
少し気の弱い心の優しい青年。
はにかむ笑い方。俯き加減。

どんなにクズな兄貴でも
どうしても見捨てることができない。
越えることができない兄という壁。
愛も自我も捨てて守るものは絆、家族、一緒に過ごしてきた時間。
だからこそ、少しずつ壊れていく姿が悲しかった。

泣き虫なロッコ…もれなく私も一緒に泣いていたよ。
なんて綺麗に涙を流すんだろう。人の心をえぐるんだろう。

シモーネは確かにクズだけど、怠けている心、横柄な態度、
そして抜け出すことのできない自分の弱さ。すごく人間臭い。

だからロッコを見ているともういいよ。自分の人生を生きてよと思う。
でも人との関わりがなければ生きていけない。
人との関わりこそが人生なのだから断つことはできない。
この悪循環、人間の複雑さ、愚かさ欲深さ、しょうもなさ、やるせなさ…

この作品に関してはもう話したいことがいっぱい!
ナディアという女の意味わからなさとか
ナディア役の女優さんとシモーネ役の俳優さんは現実で結婚したとか!いいのか、ナディアよ。
他の兄弟、ママ、ボクシング、アランドロンのこと。
だってアランドロンに家族がいて命を狙われるわけでもなく色男パワーをだすわけでもなく!!兄弟の中で群を抜いて美しいけど(笑)

なんだかいつかアランドロンの作品を全て見終わってしまう時がくるのかと思うと、次のアランドロンの作品に手が伸ばせないよ…

はぁーあー。生まれてくる年代がもう少し昔だったら
アランドロンのスクリーン特集も手に入って
アランドロンの来日の時にデパートでネクタイ買えばサインとほっぺにキスもらえるのに。
チークいらずのほっぺになるだろうな。