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若者のすべてのsnatchのレビュー・感想・評価

若者のすべて(1960年製作の映画)
4.5
人間のクズと、どこまでも許しの心を持つ人間。底無しのクズは兄で、キリストのような慈悲と憐みを持つ弟を、この時この世の人とは思えない美のかたまりアラン・ドロンが演じています。一目ですい寄せられたこの映画ジャケットの実際のシーン、悲しみがひとすじきらきらと頬をつたう…完璧……映画を止めてもらっていいですか…見つめていたい…🤩
監督も魅せられたであろう彼の表情アップが映画が進むにつれ何度も現れ、またもや見惚れます🤤

レビュー書かなくては…😅伊の貴族出のヴィスコンティ監督の作品は、若かった私にはさっぱりわからない後期の耽美的な芸術映画しか観たことなかったので、1960年に作られたイタリアの南北の経済格差を浮き彫りに庶民の家族を描いたこの作品は新鮮で、三時間もあったが、貧困の田舎から彼ら家族が携えていた大きな幸せが、憧れの都会に押し潰され粉々になっていく運命を表現する厚みのある映像に、ハラハラして一気に観ました。
母親が息子をぎゅうと抱きしめあげる愛情の濃ゆさと息子たちの頭上に君臨する母親への深い労りと服従の愛は、イタリア人ならでは…🇮🇹
その頃の若者の人生のすべてだった自分の愛する家族、愛を捧げる女性への溢れこぼれる情動がこの映画を満たしている。
なぜ、そこまで許し愛し通せるのか、弟の盲目なのかとも思えるその無垢な優しさがこの悲劇の始まりだとも思うが、終幕後は…どこまでも堕ちていくのも人間であり、どこまでも崇高な魂を持っているのも同じ人間だと思った。
都会に馴染んでいくであろう弟二人にも人生が待っている。
南から都会に出てきたばかりの頃の雪に喜ぶ家族の笑い顔が偲ばれる〰︎😭
兄弟に愛される薄幸の運命の娼婦ナディアを演じた女優さんも忘れがたいです。
巻頭からモノクロ画面に差す黒い影も印象的。
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