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第四の核のcatmanのレビュー・感想・評価

第四の核(1986年製作の映画)
4.0
ジャケットは酷いが内容は良い。主人公は上司とそりが合わない出世とは無縁のシニカルな叩き上げのMI-5諜報員という、まるでマイケル・ケインの為に用意されたかの様なキャラクターで、『三重取引』よりこっちの方がよほどハリー・パーマーの続編に相応しいんじゃないかと思える。ただやっぱり衣装センスは60年代に完敗。
敵役、KGBのエリート工作員役に当時30代前半の若きピアース・ブロスナン。本作がジェームズ・ボンドに抜擢されるキッカケになったというのも納得のハマり具合。演出は手堅く、編集のテンポが良いから派手なアクションが無くても最後までダレない。孤独に任務遂行中のブロスナンが隣人の奥さんに欲情して悶々とする様子とかエロ要素の盛り込み方もちょっと変わっててイイ。ジョン・マッケンジー監督、詳しくないけど職人気質なのかな。
音楽はラロ・シフリン!!!! 全般的には地味なスコアながら、同時代のサスペンスやアクションにありがちなシンセ音楽とは一線を画す、ストリングスが印象的な劇伴が作品に緊張感と深みを与えているのは流石。
ところで前回『ジグソーマン』のレビューで言及したMI-6のキム・フィルビーという実在の二重スパイが、冒頭でKGBにアッサリ射殺されてしまい呆気に取られてしまった。

知名度が低い作品ながらDVDには脚本&製作総指揮も担当した原作者のフレデリック・フォーサイスの副音声解説やメイキング映像も収録されています。グッジョブ👍🏻
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