CHEBUNBUN

小悪魔はなぜモテる?!のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

小悪魔はなぜモテる?!(2010年製作の映画)
4.0
【クソ邦題の下に眠る傑作】
今週末、上半期最大の地雷作『ピーターラビット』が公開される。映画ファンの間で、「ダメな方の『ANNIE』監督最新作」と煽られている。しかし、ウィル・グラック監督は、隠れた名作『小悪魔はなぜモテる?!』を撮っていた!

本作は、クソ邦題の代名詞になっており、全く食指が動かない邦題のせいで傑作に靄がかかっている。しかも、『スーパーバッド 童貞ウォーズ』でデビューし、コメディエンヌ役ばかりやっていたエマ・ストーンが本作で認められ、新スパイダーマンのヒロインに抜擢されたり、アカデミー賞関連作『ヘルプ 心がつなぐストーリー』に出演したりとスターになるきっかけとなった作品だ。

そんな、『小悪魔はなぜモテる?!』、ブンブンも食指が8年動かなかったが、ようやく観てみた。非常に良かった。

原題は『easy A』。ナサニエル・ホーソーン『緋文字』で姦婦(adulteress)の頭文字を服につけられたヘスター・プリンの闘いを学園モノに、そしてライトに置き換えていることを象徴している。

ウザい友人をあしらう過程で、いもしないカレシとセックスしたと語り、それが原因でビッチ、アバズレとして周りから見られるようになったオリーヴ。彼女が、スクールカースト最下位の人種と擬似恋愛し、そして彼らに尊厳を与える救済事業を行うことで火消しを行う。

ただただ、『緋文字』の世界を原題に置き換えるのではなく、また安易な学校=ムラ社会の構造に落とし込んでいないところが最大の魅力。

擬似恋愛なら、ありがちだが、擬似恋愛を通じてスクールカースト最下位を救済するという設定で唯一無二な存在となった。

オリーヴは敬虔なキリスト教徒から蔑視の目を浴びせられる。しかし一見アバズレに見えるオリーヴはキリストのように、弱き者を片っ端から助けている。皮肉にも、キリスト教徒がバッシングしている相手が、キリストだったという毒の忍ばせ方に唸らないわけがない。

Netflixにあるので、『ピーターラビット』観る方は、是非お試しあれ!
CHEBUNBUN

CHEBUNBUN