こたつむり

小悪魔はなぜモテる?!のこたつむりのレビュー・感想・評価

小悪魔はなぜモテる?!(2010年製作の映画)
3.8
★ かなりビッチ?されどビッチ?さらばビッチ!

ニヤニヤが止まらない作品でした。
端的に言えば、自分のウソに振り回される物語。でも、エマ・ストーン演じる《主人公》に嫌味がないので、ストレスを感じないのです。根っからの悪人が出てこないのも好印象でした。

だから、全体的に爽やかな雰囲気。
しかも《主人公》の脇を固める登場人物たちが面白いのです。親友(とは言えない気もするけど)のぶっ飛んだ価値観も楽しいし、担任教師も生徒たちを厳しくも温かい視線で見守っていることが伝わってきます。

また、何よりも《主人公》の家族が個性的。
血が繋がっているのは母親だけで、父親も弟も遺伝子上の繋がりはありません。だけど、とても仲が良く素敵な“家族”なのです(彼らが映画を選ぶ場面はニヤニヤが止まりません)。

そんな環境で育ったからこそ。
《主人公》が“他人の痛みをいたわる”…その優しい性格に説得力が生まれるのですね。やはり、子供にとって家庭内環境は重要なのです。

しかし、本作が本当に面白いのは。
そんな爽やかな物語だけで終わらずに、宗教を下敷きに「仮面は自分の心を隠す道具なのか」と問い掛けてくること。

謀るように構築した“イメージ”。
それは本来の自分ではなく、あくまでも“仮面”。そう言い聞かせてみても、それは本当なのでしょうか。その“仮面”を脱ぎ捨てたら、そこに在るのは“真実の自分”なのでしょうか。

本作で提示されるのは、その解答。
それが唯一無二の正解ではありませんが、模範解答だったとは思います。そして、真正面からそれを描いたからこそ、本作は秀逸な青春物語として完結したのです。

まあ、そんなわけで。
邦題から抱く先入観で損をしている作品。
アメリカ社会に馴染んでいないと理解できない部分はありますが、エマ・ストーンの存在感だけでも十分に楽しめると思いますよ。

それに、邦題については「映画で重要なのは本質を理解することであり、タイトルなんてどうでもいい」と配給会社は言いたかったのでしょう。うんうん。本作のテーマに迫る素敵な邦題でしたね(棒読み)。
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