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カンウォンドの恋のnetfilmsのレビュー・感想・評価

カンウォンドの恋(1998年製作の映画)
4.0
 失恋をした女は列車に揺られながら、ソウルからカンウォンドへと向かう。号車は混雑し、立ち見が出るほどの満員で、前方付近の通路に立つ女子大生ジスク(オ・ユノン)は疲れ切った様子でコクリコクリとするが、ビールとつまみを買いに来た男の腕が肩に触れ、目を覚ます。やがて列車はカンウォンドに着き、すっかり疲れ切った様子のジスクは、ペンションの2階から手を振る大学の友人のミソンやウンギョンになかなか気付かない。チュピという名の馬と戯れた後、『いとしのクレメンタイン(雪山讃歌)』を歌う3人は一見楽しそうだが、ジスクの表情は浮かない。高3の頃、自分に想いを寄せていた男子の転落が自殺か事故かわからない彼女の想い、洛山道立公園に1人向かうジスクは1時間後に仲間2人を落ち合う約束し、別れる。その後ジェヒの家に向かった3人は、警察官の手引きで辿り着く。既婚者の男は、明日帰る予定の3人と酒を酌み交わすが、ミソンやウンギョンと離れ、泥酔したジスクを介抱し、なりゆきで女を抱いてしまう。それから数日後、カンウォンドで2人で会おうと約束したジスクは、再びカンウォンドへと向かう。

 前半はジスクの道ならぬ恋を描くかに見えた物語は、中盤からジスク、ミソンやウンギョンの3人が消え、大学講師のサングォン(ペク・チョンハク)とその後輩(イム・ジオ)の物語につながる。ホン・サンスの映画では、一貫してうだつの上がらない映画監督や大学教授などの元エリートが出て来るが、今作も例外ではない。大学講師のサングォンと女子大生ジスクは一時は結婚も考えた仲だったが、やがて別れてしまう。失意の2人は同じ列車の別の車両に乗る偶然に見舞われる。2人はそれぞれ別々にカンウォンドに旅行に出かけ、そこでドロドロの不倫劇を忘れさせてくれる運命の異性と出会う。警察官という国家権力を辞めようとしている年増の男には妻も子供もいるが、影のある女性ジスクに惹かれ、やがて愛し合う。しかし彼女との再会の場面では徹底してヒステリックでナーバスなジスクがそこにいる。一方でジスクの幻に取り憑かれた男は、ジスクと瓜二つの女性と巡り会うが、彼女が約束の待ち合わせ時間に来なかったことに腹を立てている。「もう少し長い呼吸で待っていよう」と綴った壁の落書き、カメが泳ぐ池と日除けの2匹の金魚、バスの窓から入る埃と口をつけられないコーラ。「お母さん、元気でいて」と刻まれた彼女の想いは愛し合った男の眼前で、2人の運命を冷たくすれ違わせる。