みんと

マンクスマンのみんとのレビュー・感想・評価

マンクスマン(1929年製作の映画)
3.6
ヒッチコック最後のサイレント作品は三角関係のお話。

初期のヒッチ作品はストーリーはもとより、撮影の変遷を観るのが醍醐味なんだろうなぁ…
今作も撮影手法におぉ!となるシーンも数多く。試行錯誤や実験を経て巨匠として確立されて行ったんだろうなぁと勝手に想像する。
明らかに観る側を意識した人物配置に視線やクローズアップ、カメラアングルや構図は言うまでもなく、弁護士と漁師と言う親友関係も絶妙な対比だった。
もっと言うと冒頭からあからさまとさえ思える匂わせがしっかりラストに繋がってる。

いわゆるサスペンス作品では無いにも関わらずハラハラするしドキドキする。
もっとも、自覚無く親友同士を惑わすヒロインにファム・ファタールの片鱗を見たのは私だけかなぁ…?コロコロ笑う可愛い笑顔の裏に確かに悪女の素質を感じた。

閉鎖的なマンクス島を舞台に時代的な因習、更には宗教が絡むものだから徐々に締めつけられる悲劇のラストへと脚本的にも素晴らしかった。
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