shibamike

不思議惑星キン・ザ・ザのshibamikeのネタバレレビュー・内容・結末

不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

check, チェック, チェク…

(演奏開始:ブンブンビ、ブンブンビ…チュクチュクチュクキュルル…ブンブンビ、ブンブンビ…)

tes , tes…ok
yo, 1, 2, 3, 4, come on!

ここはどこだ?銀座か?
違う、キン・ザ・ザ!
マジ、イン・ザ・魔!
こりゃ、無様!
ガチ、死んだな!
yo!

(サビ)
突然、飛び込む不思議な世界
完全、戸惑う不躾Guys
無慈悲隠せねぇ、イン・ザ・魔!
不思議惑星 キン・ザ・ザ!

主演、普通の地球人(2人)
助演、ザ・Twoの異星人(2人)
差別の契り、マジふざけんな
キャベツの千切り、味しけてんな

疑い互いに、大概騙す
お互い疑い、大概カマす
マッチの超ニーズ、ガチだねギンギン
マッチがジャニーズ辞めたね最近

ため息混じりに思わずクゥー
裏切り、パない暴りょクゥー
地球に帰れないマジ無りょクゥー
いよいよ諦めガチ脱りょクゥー
それでも信じる心の魅りょクゥー

Hey, yo, mother fucker!
まさか!真っ逆さまの結末!
クゥー!
ダネリア、マラリア、いかりや、パエリア、凄い作品だぜ、Hey!
不思議惑星 キン・ザ・ザ!
クモ糸引くぜぇ、カンダタ!
蒸したら臭ぇ、キンタマ!
yo!

マジ、スパシーバ
ガチ、シバミーケ
マジ、スパシーバ
マジ、感謝してぇ
マジ、顔射してぇ
マジ、ガンジャ吸いてぇ
Hey!

(サビ)
突然、飛び込む不思議な世界
完全、戸惑う不躾Guys
無慈悲隠せねぇ、イン・ザ・魔!
不思議惑星 キン・ザ・ザ!

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曲名:不思議な臭ぇ キン・タ・マ
歌手:DJ-SBMK(蟹江敬三・ウェストや上沼恵美ネムなど超1流ミュージシャン達から契約金100万ドル相当と言われるブルックリン帰りの本格派大型新人ヒップホッパーとして今後の活躍が期待されている)






自分はここ1年ほとんど毎日2km弱、家の周囲をちんたらちんたらランニングしている(雨天中止)。
毎日毎日変わり映えしない風景で普通そのもので、退屈である。

そんな時にThe Whoのピート・タウンゼントが良いことを言っていて、自分は感銘を受けた。
ピート「冬に葉っぱの落ちた街路樹の枝を見た時に、人間の臓器の毛細血管に見えたんだ。その時に俺は木というものが完璧に理解できた。木は地球が呼吸をするためのシステムの一部だってことが。」(うろ覚え)
上記はピートが20代の頃にクスリでトリップしてる時の経験談らしいのだけど、自分はこの話を知って以来、毎日の近所のランニングが当たり前じゃなくなった。目につくありきたりな街路樹群が地球の臓器に見え、自分は今、地球という有機的な体内の中を駆け巡る細胞の1つという気がした。ミケグロビン、ミケコンドリア、シバミ血球。普通じゃなくなるということは退屈から解放され、たまには良いものであると思った。
(ミケコンドリア等は1日で速攻、飽きた。)


本作では、普通の一般人である主人公達が、ある日突然普通じゃない状況に放り込まれて、ありゃりゃこりゃりゃとなる。普通の退屈さとありがたさ、非日常の刺激と絶望とが主人公達を打ちのめしたり、強くしたりする。


惑星キン・ザ・ザは惑星地球の我々からすると、不思議そのものである。
見渡す限り砂漠の星。文明は地球よりも高度のやうだけれど、貧乏が蔓延してるらしく、とにかく変。かつては海なんかもあったさうだけれど、人々の強欲のため、すべて燃料に変えてしまったとか。
 そんな変テコな星にもやっぱりルールが存在する。有り体に言うと徹底した階級社会。階級の区別は人種と履いているステテコの色(マジだぜ!)。これらが有利な者ほど弱者に対して好き勝手できる。暴力、略奪、支配なんでもござれ。

そんな恐怖の星にほとんど裸同然で放り込まれる主人公である建築技師のロシアンナイスミドルおじさんとバイオリンを持った音大生の心優しいグルジア青年(バイオリンを持ってた割に、バイオリンを弾けない、といういぶし銀のやうな渋い設定があったり(なのにあだ名は、バイオリン弾き)、他人の物をやたらと盗む癖があったり、この青年は端正な顔付きとは裏腹にギャグ安打製造機の素質が凄まじかった)の二人。
 涙すら出ない悲劇の犠牲になるかと思いきや、さにあらず。逆にずっと喜劇であった。喜劇となった要因は色々あるだらうけど、二人と行動を共にするキン・ザ・ザの住人二人(パッツ人とチャトル人)がウルトラポンコツクズ野郎だったというのはウルトラ重要な部分であらう。
グルジア青年もパッツ人とチャトル人に負けず劣らずいらんことしぃで、トイレで緊急脱出ボタン押して、行方不明になったりしていた(不思議青年 便・座・ザ!)。

本作における惑星キン・ザ・ザの悲惨な状況というのはソ連を揶揄しているとかの向きもあるらしいけれど、自分はソ連やロシアに住んだことが無いので、そこらへんはよくわからないし、何より自分は日ソ中年不可侵条約(※注)締結者代表として、ソ連のオッサン達のことが好きであるし、向こうが自分のことを迷惑に思っているというのも理解している。こらっ!
(※注:日本とソ連の中年は互いを尊重し合うことを決めた条約。1979年締結。)


惑星キン・ザ・ザから地球帰還を目指す主人公達だけれど、キン・ザ・ザでやっていくため、パッツ人とチャトル人と共に働く。
仕事の内容は大道芸人。
キン・ザ・ザでは身分の低い者は、歌って踊ってをやって、見世物として日銭を稼ぐのであった。
ここらへんも、人間社会の縮図のやうで深遠な味わいがある気がするのだけれども、彼らの見せる見世物のレベルがクソの足しにもならないやうな酷い見世物で、自分は笑ってしまって人間社会の縮図どころではなかった。

しかし、このアホな映画であるが結局終盤以降ラストまで、心意気で突っ走る話となり、なんともハートフルで熱々のピロシキとボルシチ物語を我々観客に振る舞うのであった。最後はおじさんとバイオリン弾きのデタラメな絆に泣いた。
涙のコサックダンス、という歌を次は作ろうとDJとしての考えが自分によぎった。


何もかも変わっていってしまう。
みんな大人になりやがって、ふざけんな!と自分は最近よく思う。
しかし、我々人間を含めた生き物の心の温かさの温もりというのは、いつの時代だらうとどこの星であらうと不変なのではなからうか。ピロシキとボルシチの温もりも同様である。味噌汁は…冷めるっ。
そんなことを考えながら明るくなった劇場を出て、UPLINK吉祥寺の軽食販売のカウンターへ立ち寄り、
柴三毛「パワハラのMサイズ1つください!」
とスタッフ達の表情を瞬時に凍りつかせつつ、熱々のパワハラをお持ち帰りして家で味わったところ、鬱病になった。
夏のペレストロイカ音頭、という歌を次は作ろうとDJとしての考えが自分によぎった。


自分はマラリア監督のユーモア好きである。抑えに抑えまくった音のまったくしないやうなユーモア。
そして感じるまったく音のしない果てしないやさしさ。
 ついこないだ観たばかりのいかりや監督の「秋のマラソン」にも出ていた近所のアル中のオッサンが、本作でもチャトル人として大活躍(=薄汚ぇオッサンぶりを存分に発揮)しており、日ソ中年不可侵条約締結に立ち会った自分としては非常に嬉しかったことはここで改めて述べる必要もないことなのであらう。
 

DJ-SBMK 心の一句
「チャンネエと シースー食いてえ ザザキンで」
(季語:チャンネエ→ビキニ→夏)
shibamike

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