カツマ

不思議惑星キン・ザ・ザのカツマのレビュー・感想・評価

不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年製作の映画)
4.2
とりあえずこの映画をキンザザ星風に説明するとなったら、『クー!』が『クー!』して『クー!』な話なのです。
と意味不明なことを言いたくなるくらいのカルトムービーの総本山的SF作品!アメリカではスターウォーズが大人気だった頃にソ連ではこんなSF映画が作られていたなんて、地球人って何て多様性に富んでいるのか。カルトムービーだからと言って甘く見てはいけない。見終わった後、思わずクーー!と言わずにはいられなくなるだろう。
※クー!とはキンザザ星の言葉のほとんど全ての意味を含む、つまり利便性抜群。例えば犬でいう『ワン!』みたいなものだと思われる。

モスクワに住む建築技師ウラジミールは妻から買い物を頼まれる道すがら、バイオリンを持った若者に声をかけられる。彼が言うには宇宙人と名乗る男がいるというのだが、その男は故郷に帰れずにいるので助けてほしいとのことだった。故障したという空間移動装置にウラジミールと若者が触れてみると、そこには広大な砂漠が広がっていた!何とここまでの所要時間約5分ほど。スタートして速攻でキンザザ星に飛ばされる、という鑑賞者の意識を置いてけぼりにするプロローグ。だがここから2時間を越える壮大な旅が2人を待ち受けることになる。そこはカクラム砂漠ではないのだ。さぁ、宇宙船が飛んできた。男が2人出てきてこう言うのだ『クー!』。ここで笑えるか笑えないかは鑑賞者次第。恐らくかなり高い確率で滑るとは思うのだが、心配は無用。宇宙旅行に旅立った2人と同様に鑑賞者も次第にキンザザ星に慣れてくるだろう。

ロクデモナイキンザザ星の人達と差別が横行する社会。だが、これは暗に当時のソ連をディスっているとも言われる。突飛な映画だが社会的意義はギッシリと詰まっており、ドラマとしても見応えは抜群だ。地球人の持つ人情は素晴らしいが、主人公の2人があまりにも冷静なことが最もSFだったような気もする。キンザザ星は地球人からするとカオスに見えるが、恐らく宇宙人から見ても地球人はそう見えるはず。実は現実的なSF映画であり、妙にキンザザ星が愛おしく思えてしまった(でも行きたくはない)
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