ゴト

不思議惑星キン・ザ・ザのゴトのレビュー・感想・評価

不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年製作の映画)
4.8
チャトル=パッツ語小辞典

カツェ→マッチのこと
ツァーク→鼻につける小鈴
エツィフ→囚人ボックス
エツィロップ→権力者
ぺぺラッツ→宇宙船
グラビツァーバ→加速器
キュー→公言可能な罵倒語
クー→残りの言葉全部

だそうです。

自分がこの不可思議なSF映画に出会ったのはいつごろだろうか。たしか、5〜6年くらい前のロシアンカルトの特集上映だったと思う。

「シェイプオブウォーター」の元ネタみたいな「両棲人間」を観て、その後に観たのがこれだった気がする。正直、観る前は然して期待もしていなかった。でも、あの釣鐘型の宇宙船が来た瞬間に度肝を抜かれた。いい意味でやばい感じがした。勿論、その前から何かおかしい感じはしてたけど。気の抜けた音楽に、あまりに唐突に異星に飛ばされる主人公たちとかね。

とにかく観終わって速攻でパンフレットを買って、友達に教えて、当時はまだレンタルで出て無かったから悩んだ挙句8000円くらい払ってDVDを買った。

ロシアは、ガガーリンやらツィオルコフスキやらを輩出し、宇宙開発に於いては先駆者的なイメージが強い。タルコフスキーの「惑星ソラリス」もあったりと、どこか少年たちの憧れだけではない宇宙を感じさせてくれる国でもあると思うけど、この映画はそれを絶妙にぶち壊している。

別世界の英雄譚としての宇宙物語ではない点は他と同じだけど、変に小難しくは描かれていない。哲学的な部分を社会風刺に置き換えていると言えるかもしれない。それがあの独特の空気感を生んでいる気がする。単にコメディを作ろうとしたけど、欧米的な笑いが理解出来ず、結果シュールになってしまっただけかもしれないけど。

ただ、それだけじゃなく友情・絆といった普遍的な要素もしっかり盛り込まれているのがこの映画が長らく支持を得ている理由でもあると思う。あの朽ちた観覧車を前に4人が一つのオリに入り下手な音楽を鳴らすシーンはグッとくる。

まあ、とにかく一回でいいからあの挨拶を誰かと出来ないかな〜と思ってしまう映画。
ゴト

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