OASIS

ダーク・ハーフのOASISのネタバレレビュー・内容・結末

ダーク・ハーフ(1993年製作の映画)
2.6

このレビューはネタバレを含みます

自らが生み出したもう一人の自分が起こす事件に悩まされる作家の苦悩を描いた映画。
スティーブン・キングの原作小説をジョージ・A・ロメロ監督が映画化。

1986年、小説家志望の少年サッドは頭の中に響く鳥の声に悩まされていた。
手術を受け、脳に腫瘍があると判明し切除に成功するが、それから23年後、作家になったサッドは再び鳥の声や音に悩まされるようになる。
大量の鳥が空中に舞うオープニングから不気味な空気が漂い、空を覆い尽くさんばかりに鳥が異常発生するというヒッチコックの「鳥」を彷彿とさせる絵図は異様さを表していた。
サッドが生み出した架空のキャラクター・ジョージの墓を立てるという悪趣味なジョークにも、葬られた魂の怒りを具現化したように鳥が荒れ狂い舞う。
とにかく、生者を死者の世界へと誘うと言われる常に周囲を飛び回り監視しているかのような鳥の存在が寒気を感じさせる。

「アソコを焼いて食うぞ」と架空のキャラクターの台詞を冗談交じりに話すサッド。
やがて、墓地が掘り起こされ、カメラマンや友人らが殺され、その容疑をかけられてしまう。
性器が切り取られ口に突っ込まれている死体が見つかったりと、本の中の出来事が現実で起きるようになる。
ここでも、サッドの頭の中では鳥の声が聞こえ「またスズメが飛んでいる」という文章が自分に覚えのないまま殺人現場の壁に書かれている。
殺人がジョージの手によるものと分かった瞬間の演出が素晴らしかった。

サッドと同じ顔をしているジョージを
一人二役で演じるティモシー・ハットンの演技は「マスク」のジム・キャリー的な変わり様を見せ、少々オーバー気味な部分もありつつコメディ的になりそうなギリギリのラインで留めていた。
清掃業者の昇降機で降りていくシーンはギャグスレスレだったが。

二人は対峙する事になり、ジョージはサッドに「新しいシリーズを書け」と迫る。
主人公に自分の思い描いた物語を書けと脅迫する為に周囲の邪魔者を殺して行くというアグレッシブな「ミザリー」的展開になり、それまで特殊メイク等を用いて頑張って来ていた描写が、ラストになって突然大々的なCGが使われていてオカルトホラーというよりもSF感が強くなった。
サッドの子供の双子がジョージに人質に取られるくらいしか役割が無かったのが残念で、もっと双子設定を活かせなかったのかと思ったが、ドッペルゲンガーとはまた違った怖さを感じれる作品だった。
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