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ミリオンダラー・ホテルのsuguruのネタバレレビュー・内容・結末

ミリオンダラー・ホテル(2000年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ミステリーベースの悲喜劇。
極上のMVのようなオープニングが秀逸。
刻んでゆくリズムが常に芸術的で。

ミリオンダラーホテルの住人たち全てが左巻き、否、社会的弱者である中で、一番弱く無垢なトム。
野生動物なら真っ先に狙われてしまいそうな、優しさと思い遣りで造られたような儚くて純粋な存在。
真実の告白と秘めた感情を塞き止めるのは知的障がいではなくて、彼にとっては何よりも代えがたい友情と人生で一番大切な恋心。

社会の秩序に囚われず、気ままに生きるホテルの住人たちは、一見すると自由で満足げだが、実際は悔恨に苦しむ只中で、
別の新しい人生を渇望していた。

適応能力の欠如を理由に陥れようとする
適者生存・優勢劣敗の渦中で、トムだけが最上の幸福感を得て、そして人生の全てにケリをつけて融けるように朝焼けに飛ぶ。

理解者の存在で辛くも救われたが
遺された者と私はやはり悔しくて辛い後味。

ノークレジットのティム・ロスが強烈な印象。

数日の出来事を非常に上手くまとめられているのも良さなのだが、惜しむらくは二人の逃避行はあと1分でも長く欲しかった。

キャストだけで選んだけれど
とても好きな映画に出会えて良かった。
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