LalaーMukuーMerry

長く熱い週末のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

長く熱い週末(1980年製作の映画)
3.9
なかなか面白かった。1980年のイギリス、クライム・ミステリー作品。
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ロンドン・マフィアのボス、ハロルド(=ボブ・ホスキンス)は政治家ハリスと組んで、ロンドンの再開発事業をしようとしていた。その週末はアメリカから招いた投資家と会って契約を交わすはずだった。ところが彼の子分が自動車爆発で殺され、旧友で右腕でもあった男も刺殺されるという事件が立て続けに起こる。身に覚えがない彼は、部下同然の警部や、手下たちに犯人を調べさせるが何もわからない・・・
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ボブ・ホスキンス目線でストーリーが展開し、観客には事件の真相は謎のままなので、ついていくのが大変ですが、最後の最後に勝負あったと悟る顔のアップのロングカットは味がありました。
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ヘレン・ミレンは若い時も今とあまり変わらない感じでした、息の長い女優さんですね。
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作品を理解する上でほとんど役に立たないかもしれない背景などを少し。

1. ドックランズ再開発 
ロンドン東部のテムズ川に面した地区ドックランズはかつて世界で最も栄えた港だったが、第2次大戦後は衰退した。その再開発計画が強力に進んだのは、1979年にサッチャーが首相に就任してから。今では超高層ビル立ち並ぶ一角に変わっている。この作品は再開発の裏で暗躍するマフィアを描いている
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2. IRA(Irish Republican Army アイルランド共和軍)
アイルランドとイギリスは昔から仲が悪い。アイルランドはイギリスから独立戦争を経て独立したが(1921年)、北アイルランドはイングランド連合王国にとどまった。このことが禍根を残しアイルランド政府と別れてIRAは過激な活動を繰り返すようになった。彼らの目的は北アイルランドをアイルランドに取り戻すことだった。第2次大戦中、敵の敵は味方で、IRAはナチスドイツとも繋がりがあった。戦後も冷戦時代はソ連とも繋がり、1970年代に主に北アイルランド、次第にイギリス本土でも過激なテロ活動を繰り返すようになった。この作品の時代はIRAの活動が最も激しい頃だ。1990年代に入って冷戦終結後は和平への歩み寄りが進み、1998年和平合意、2005年武装闘争終結宣。今は昔のIRA