天使の入江の作品情報・感想・評価

天使の入江1963年製作の映画)

LA BAIE DES ANGES

上映日:2017年07月22日

製作国:

上映時間:80分

3.8

「天使の入江」に投稿された感想・評価

小一郎

小一郎の感想・評価

3.4
ヌーヴェル・ヴァーグの2大作家で夫婦のジャック・ドゥミとアニエス・ヴァルダ。シアター・イメージフォーラムの特集上映「ドゥミとヴァルダ、幸せについての5つの物語」にて鑑賞。

ジャック・ドゥミの長編第2作で、劇場正式公開は初。主演女優は2017年7月31日に亡くなったジャンヌ・モロー。出演作を見るのはフランソワ・トリュフォー監督の『突然炎のごとく』に次いで2作目。

この日は菊地成孔さんのトークショー付き。『シェルブールの雨傘』の資金作りもあって、ササっと撮った作品とのことで、物語もサクサク進む。

パリの銀行に勤めるハンサムな青年主人公。同僚にカジノに連れていかれ大当たりしたことからギャンブルにハマる。そして南仏リゾート、ニースの保養地“天使の入江”のカジノでブロンド美女と意気投合し、ギャンブルにのめり込んでいく。

現実から禁断のカジノへと逃避した、いわば失楽園した2人が愛により救済される物語らしい。マリリン・モンローよろしく頑張っているジャンヌ・モローが悪女にしか見えず、愛とか幸せというよりは、落ちるところまで落ちる方が似合っている気もするけれど…。

ルーレットで勝って負けてを繰り返し、合い間に2人でデートして、みたいなサクッとライトな感じがヌーヴェル・ヴァーグなのかな? 自分にはまだ良くわからない…。

●物語(50%×3.0):1.50
・愛とギャンブルへの熱狂のどちらが強いかみたいな。自分的には後者の方がリアリティがあったかな。

●演技、演出(30%×3.5):1.05
・カジノのシーンは好き。

●映像、音、音楽(20%×4.0):0.80
・ピアノが印象的。ジャズも良し。
ササキ

ササキの感想・評価

3.7
ジャンヌモローの元を離れて後退していくカメラの映像とミシェル・ルグランの円環する音楽にはじまるオープニングが素晴らしい。
ジャンヌ・モローの顔が覗く円が開け、スクリーンいっぱいに南仏の海岸が広がる開放的なアイリスイン。カメラはあっという間に彼女を置き去りにして、晴れやかなプロムナードを疾走する。ルグランの甘美な調べとともに、景色はみるみる姿を変える。ドゥミ映画のオープニングは、いつだってドラマティックでロマンティック。

まわるまわるルーレット、赤にも黒にも転がるボール、明にも暗にも転がる人生。
カジノが引き合わせた夫人と青年は運命を共にする。ふたりを繋ぐのは情熱か偶然か?男女愛とも親子愛ともつかないその情をなんと呼ぼう。

引き際を見極めた青年、その背中を追いかけた夫人。幾多も並べられた鏡に散らばって映るその姿は、ギャンブル狂としての彼女が砕け散った破片か。

カメラを、スクリーン前の私たちを置き去りにして遠ざかるふたり。ふいの爆発的なハッピーエンディングに、仄暗い予感がふとよぎる。
いつまでも幸せに暮らしましたとさ、では終わらないドゥミ映画。スクリーンの向こうに遥かに広がる世界、エンドロール後も流れ続ける時の中で、人々は出会いと別れをくり返す。ともすれば彼らも、或いは。

それでもどうか今だけは、ふたりの寄り添う背中に祝福を。
nmn

nmnの感想・評価

-
贅沢と貧困を、一瞬に
劇的なピアノのように

このレビューはネタバレを含みます

ジャンヌ・モローくらいになると自分で煙草の火をつけない
まつこ

まつこの感想・評価

3.5
ギャンブルと依存と私。
破滅的な愛に暴力はつきものなのか。

愛とルーレットの相関。
最高にも最低にもなり得るから求めてしまうのかな。

ミシェル・ルグランの音は真っ直ぐ心を捕らえて離さないのに、理解できない愛の形に白々と顎が上がる。

それでもラストでフッと笑ってしまうのは愛おしいドゥミ・マジックにまんまとハマってしまっていたということなんだろうな。
ジャンはDVするし、ジャッキーはギャンブル中毒だしちょっと冷めた目でこの2人を観ていた
ということは、この2人をリアルに描けていたってことかな
最後はびっくりした この2人は上手くいくとは思えないけどね
うさぎ

うさぎの感想・評価

4.3
綺麗なモノクロだな〜
後半の自分でも持て余している感情を表現するジャンヌ・モローのリアルな台詞と演技。だんだん愛おしくなってくる。

「ドゥミとヴァルダ、幸せについての5つの物語」
skm818

skm818の感想・評価

3.7
最後がちょっと唐突だが、よくできた話と思う。
金欠の銀行員がギャンブル狂の同僚の手引きでギャンブルにはまってしまい、親に勘当されて出かけた先の南仏でこれまたギャンブル狂の女に出会い…うわーうわー。ギャンブルこわすぎダメ絶対。
しかしこの手のスリルが好きな人がいるのは分かるし、実際ニースとモナコの間あたりの海岸にはこの手の人がゴロゴロいそう。全財産をすってしまって出られない人もいるのではないか。
この2人にしても、この後ほんとにパリに戻ることができたのか。お父さんから送金してもらった帰りの旅費も、あと1回だけとか言ってカジノに逆戻りしていそうな。恐ろしい恐ろしい。
ジャンヌ・モローが福本伸行の漫画の世界に迷い込んじゃったようなギャンブル狂想曲。「カイジ」に登場する名言吐きまくり悪役オヤジみたいな特濃エキスをジャンヌ・モローに注入したら、とんでもない恐ろしい悪女ができあがってしまった。しかしこの悪女は男を惑わす美貌も兼ね備えているので危険すぎる。

本作のジャンヌ・モローを観てると、私の少年時代、故郷北区赤羽の商店街でスナックを経営していた謎の美人ママさんが昼間からタバコを吸いながらゲームセンターでメダルゲームを熱心にやっていた光景をふと思い出してしまった。

ルーレットがひたすら回り続けて変な心地よさを感じるし、人物たちの、お金やチップの交換、受け渡し、賭ける時に投げる動作が素晴らしくて映画のリズム感がいい。そしてジャック・ドゥミ映画のボンクラ青年は面白い。イケメンなんだけど精神的な童貞感を漂わせ、やさしいけど急にキレてジャンヌ・モローをぶん殴るし、ダメな男だなぁと思いながら、「まぁ、人生頑張れや!」って声かけたくなりました。
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