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SPETTERS/スペッターズのとぽとぽのレビュー・感想・評価

SPETTERS/スペッターズ(1980年製作の映画)
4.0
コロッケ食べたくなる?あるいはその逆ーーーー"性"を感じる、ユーモアが描き出す自由奔放な男(と女)の見栄=男性性の剥奪・喪失。
三者三様で無軌道に飛ばして理由もなく生き急ぐ、欲望と共に疾走する"青春"の終焉・決別。あの頃は何の疑問ももたずいつもツルんでいた連中だけど何処に向かっているのかも分からない。起きたことは戻せず、自分の少ない長所に頼ってただ日々をやり過ごす。ホモ狩り・ゲイを忌み嫌う凝り固まった価値観、つまり差別意識・偏見が奇しくも確立するアイデンティティーは、他人が汗水流して稼いだ金や物品を苦労もせず巻き上げ横取りするようなもの。自分達も紙一重なのに燻りから何か脱却しようと足掻いて八つ当たりもいいところ。どれだけ粋がっても、言ってもまだ親と暮らし門限があって親のスネをかじる若者だから。若造の特権と卑怯さ、逃げ口上、そして信仰などの影響。メディアに搾取される若手スターたちの輝きと無垢さ、あの頃の希望はもう何処かへ消えてしまったのか。作品としてはすごくエネルギーに満ち充ちていたけど、ここで目を背けず描かれるのは夢打ち砕かれた者の末路で何かの喪失に他ならない。
時代や、少しばかりは地域性もあってか、今ならセクハラ全開なこともご容赦を。性の表現が直接的、みんな直ぐ脱ぐからファスナーに錠前でも付けとくか?大きさ比べのシーン等モザイク残念!ルトガー・ハウアーも出ていて、どうやら初期ヴァーホーベンの代表作らしい本作には当時の空気感がブラバンの生演奏だけじゃなく時折の少しばかりチープな音楽なども合わさってフィルムに焼き付いている、そして非常に暴力的(あるいは昨年の『エル ELLE』にまで続く他でもない彼自身の個性?)。メインテーマ曲は渋い、あと空はずっとピーカン晴れ模様だし衣装とかも合わさってカラフルな絵面。トラヴォルタの笑顔とダンスに委ねたアメリカンドリームと日本への言及(Japan as No.1)、根拠のない夢物語を語りそれを糧に糞みいな生活から抜け出そうと。息切れするまで走っても報われない理不尽な人生にも当然の報いを。それぞれに別の路を歩き始める。あと、ゴミを車の窓から投げるなどポイ捨ては止めましょう(元から人間として軽蔑してるけどリマインダーで)。
以上、他の何でもない紛れもない骨の髄までヴァーホーベン作品でした!!何かよく分からないけどスゴいもの見たな、と

「本当の愛かよく考えて」「愛よりも安定がほしいの」
「昨日あいつを襲ったら目覚めたようだ」
勝手に関連作『ロード・オブ・ドッグタウン』『RUSH プライドと友情』
TOMATOMETER78% AUDIENCE66
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