サーフ

マルコヴィッチの穴のサーフのレビュー・感想・評価

マルコヴィッチの穴(1999年製作の映画)
3.8
「とあるビルの7と1/2階にある小さなドアをくぐるとジョン・マルコヴィッチの脳内に繋がっていて、誰でも15分ジョン・マルコヴィッチの頭の中に入れる」というストーリーだけれど奇想天外すぎる。どうやってこんなストーリー思いつくんだ…

とにかくこの映画は奇妙に尽きる。ビルの7と1/2階という舞台設定、途中出てくる主人公達以外日本人しかいない飲み屋など全体的に違和感というか若干バグった世界観でストーリーが進んでいく。

この映画最大の個性である「マルコヴィッチの穴」。ブラット・ピットでもなくトム・クルーズでもなくなれるのがジョン・マルコヴィッチというのがなんか良い。
ブラピとかトム・クルーズになれるとしたら凄い夢のある話だけれどそれがジョン・マルコヴィッチという所がこの映画を一番奇妙にしている所だと思う。

奇妙がMAXまで行くのがマルコヴィッチ本人が「マルコヴィッチの穴」に入った先の世界。自分含めみんなマルコヴィッチという恐怖。ただただシュール。

「自分ではない誰かになれる」というのは多くの人が持つ憧れ。本当に自分ではない誰かになってしまったら人生観であったりそれまでの人生の意味に対するぼんやりとした恐怖を感じる。自分が自分である事の不確定さを見せつけられているようで、「今の自分は本当に自分? 誰かに操られているとしたら?」と考え出すと寒気がしてくる。

とにかくジョン・マルコヴィッチの怪演の素晴らしさにつきる今作。だんだんと演技するマルコヴィッチが怖くなってくる。
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