LEONkei

ワルシャワの柔肌(はだ)のLEONkeiのレビュー・感想・評価

ワルシャワの柔肌(はだ)(1996年製作の映画)
4.0
激しく荒々しく獣のように互いの肉体を貪り、本能のままに欲望を曝け出す男と女。

肉体を重ね合わせる…。
それは何かを確認するかのように、或いは何かを破壊させるかのように…そして何かの復活を望む儀式のように。

大学講師で人類学者の中年男と女子大生はワルシャワで直感的に出会い、互いに何かが宿ったかのように狂気に満ちた欲望の渦に堕ちる。

これは単なる歳の差カップルが変態的SEXに溺れる官能的な甘ったるい物語ではない。

快楽の為のSEX…
子孫を残す本能的なSEX…
愛を深め確かめ合うSEX…

これらとは明らかに異なるこの男女のSEXは、儀式とも言える行為で肉体を超越した存在しない魂を賛美しているよう。

物質世界を遥かに超えた霊界上位を唱えるシャーマニズムを、ポーランド(ワルシャワ)社会に生きる現在の人々と摺り合わせ描いているようにも思える。

あまりにも衝撃的な描写や理解しがたい表現も有るが、数多くのSEXシーンにエロティックと言うより生命の力強さと性の奥深さを感じる。

女子大生役〝イオーナ・ペトリ〟の現代っ子らしい少しぶっ飛んだ、狂気じみた演技に圧倒される。

それまでの共産主義体制ポーランド(ワルシャワ)の政策的限界・労働生産性の崩壊等よって、物資の欠乏や貧困によるモラル低下など変革時代に混迷する人々や街の姿が垣間見れる。

物質的豊かさも精神的豊かも政治や社会構造だけでは満足感は得られず、時代変革と共に双方のバランスによって補い合ってこそだが現実は難しい。

〝アンジェイ・ズラウスキー〟の共産社会の崩壊と共に来た、物質社会への矛盾と期待を感じた..★,
LEONkei

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