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自由を我等にのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

自由を我等に(1931年製作の映画)
2.5
No.52[ジャック・タチと「モダン・タイムス」の原点] 50点

「モダン・タイムス」が本作品の完全なパクリとして訴えられたのも分かるくらいそのものである。裁判はクレールの"チャップリンが真似してくれるなんて光栄じゃないか"という一言によって公開差し止め手前でチャップリンが勝訴しているが、現在ではそうもいかないだろう。一応違いと言えばチャップリンが"機械化社会への批判"を扱ったのに対して、本作品は"機械化社会の生き難さ"を描いている。そのためメッセージは若干ヌルい。否、ヌルい。

冒頭、なんでもないシーンで突然歌い始めたせいで胸を刺された様な気分になった。「ル・ミリオン」もそれが生理的に無理だったんだよね。ミュージカルシーン以外はサイレント的なスラップスティックコメディに徹している。ジャック・タチも大いに参考にしたことだろう。しかし、コメディシーンも一辺倒で悲しい。先に「モダン・タイムス」を見たせいもあるんだろう。チャップリンめ、パクリの方が優秀だわ。

工場の外にレコードプレイヤーを天日干しするシーンは意味不明すぎて笑った。でも、どうしてもチャップリンやタチなんかと比べてしまうし、比べるとやっぱり微妙。

ちなみに、タチが「モダン・タイムス」を作ったら本作品みたいになるんじゃないかと思ったけど「ぼくの伯父さん」という大傑作を作ってたわ。あのソーセージみたいなゴムホースを大量生産しちゃうとことか大好きなんだよね。
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