りっく

タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密のりっくのレビュー・感想・評価

2.9
洒落たオープニングから始まる本作は、冒頭からスピルバーグの『タンタン愛』を感じ取ることができる。オープニングのシークエンスで、作り手は決してタンタンの顔を映そうとしない。似顔絵を描いてもらっているタンタンを映すときも同様だ。その後出来上がった絵は、まさに誰もが知っている漫画の「タンタン」である。そこからカメラがパンし、初めて本作の「タンタン」の顔を捉える。この2Dから3Dへの新旧の「タンタン像」が継承されるオープニングは、いかにスピルバーグが『タンタン』に敬意を払い、愛情を注いでいるかが分かる。

本作で特筆すべきなのは、やはりアクション場面のダイナミズムだろう。陸・空・海を舞台に、ひとつのアクションが連鎖的に働いていく。仕掛けの畳みかけが連続しているからこそ、3D効果もあって空間の奥へ奥へとノンストップで突き進んでいく。スピルバーグ初の3Dという期待を裏切らない場面が次々と現れるのだ。

けれども、『タンタン』を全く読んだことがない人間から観て、本作の主人公であるタンタンがあまり魅力的なキャラクターではない点は気になってしまう。少年というよりはやや大人びすぎているために、謎解きや冒険による成長の跡がほとんど感じられない。周囲のカリカチュアされたキャラクターに比べ存在自体が弱いため、主人公としての物語の推進力と成り得ていない感じを受けてしまう。逆に、スノーウィという犬が際立っている印象がある。
 けれども、そんな細かいことは気にせずに、観客=「タンタン」の視点で冒険に同行する見方が、本作で最も正しい鑑賞法だろう。「それこそが映画だ!」とスピルバーグは伝えたかったような気がする。