KnightsofOdessa

再現のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

再現(1970年製作の映画)
3.5
私の中で『Reconstruction』と言えばルチアン・ピンティリエなのだが、その2年後にアンゲロプロスも同じ題名の作品を撮っていた。それが本作品である。長編デビュー作ながら既にアンゲロプロスという凄まじさは冒頭のバスがやって来るロングショットから分かってしまう。物語はドイツに出稼ぎに行っていた男が帰ってくる場面から始まるが、彼はいきなり死んでしまい、彼を殺したであろう妻とその情夫がどれほど事件に関わっているのかを映画として再構築していく。アテネからやって来たジャーナリストが事件後に調査する内容と、映画内で再構築された事件前の様子は尽く合致しており、全員が全員を知る寒村で息苦しく貧しい生活をしていることが伝わってくる。物語も無情だが、遠くから眺めるようなロングショットによってその感覚は強調される。リマスター版DVDの画質だとちょうど良く黒色が潰れてて、それも悲惨な雰囲気を醸し出すのに一役買っている。

冒頭で男が"レモンの木の歌"を歌っているのだが、"キスしたら病気になったけど医者は呼ばない"という歌詞で引いた。全体的な物悲しさは胸を打つが、映画の完成度的にはピンティリエの勝ち。

一応、ピンティリエの方のレビューも↓
https://filmarks.com/movies/81894/reviews/58152408
KnightsofOdessa

KnightsofOdessa