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オペラハットのkossのレビュー・感想・評価

オペラハット(1936年製作の映画)
3.6
突然、2000万ドルの遺産相続人になった男が田舎からニューヨークに。そこで待っていたのはデッチ上げ記事で儲けようとするマスコミ、大金を狙う弁護士、思考力のない権力。2000万ドルを貧しい農夫たちを救う土地改革に使おうとする男の行動に、農夫たちの支持に対して司法は精神病として裁こうとする。男は弁護士もつけず、従容しようとするが、デッチ上げ記事を書いた女性記者の改心の証言で、沈黙を破って立ち上がり反論し勝利する。

権力、マスコミ、大衆の中で変わった行動をとる者が異端視される。裁判で男を「妖精憑き」と老姉妹は言う。異端の個人が勝つのはキャプラのテーマだろが、本作は構造が直線的過ぎ単調でラストの納得感は生まれない。ただ、当時のアメリカ民衆には支持されたのだろう。男も農夫たちも移民であることが随所に示され、男のニューヨークへの旅立ちには「蛍の光(オールド・ラング・サイン:スコットランド古謡)」が演奏される。直接的な社会批判として爽快感を与えただろう。観客受けを狙い過ぎたキャプラ。

主人公の男はディーズ氏で原題は“Mr.Deeds goes to Town”、3年後の「スミス都へ行く」“Mr. Smith goes to Washington”の第一稿として認識しておくべき作品かもしれない。
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