うにたべたい

アイス・コングのうにたべたいのレビュー・感想・評価

アイス・コング(2006年製作の映画)
1.8
一体なぜこんなものができてしまったのか。
どういう経緯で企画され、何を思って製作されたのか。

アメリカの比較的最近、2006年製作の怪獣特撮映画。
タイトルには"コング"の名前がついていますが、原題は"忌まわしきもの"を意味する"The abominable"というタイトルで、キングコングとは本来、関係無い作品です。
ただ、金儲けのためにコングが攫われる展開や、コングの理解者として美女が活躍すること、また、その美女を抱えてビルに登るコングなど、明らかにキングコングを意識した内容となっていて、雪バージョンのキングコング、"アイスコング"というネーミングは非常に自然な感じを受けますね。
なお、ストーリー展開はキングコングを意識した内容という感じがしますが、「キングコングを参考に作りました!」なんていうと、本家に殴られかねないできになっているので、視聴についてはこの手のB級映画マニア以外はおすすめできないです。

動物保護団体に所属し活動をしているアリーは、団体を先導し、猿かなにかを使って、動物実験的な何かをしている場所へ踏み込みます。
が、それに勘づかれ、証拠の猿的なヤツを焼却処分され、悲愴な叫びをあげるアリー。
そしてそこに警察が押し入り、アリーは責任を取らされ、団体から追い出されます。
一方で、アイスコングの存在を知り、カメラに収めたいと考えているアリーの父親は、ブローカーに騙されて居場所を教えてしまい、挙句殺されてしまう。
そしてアリーはブローカーに拉致られてアラスカに連れてこられるというストーリー。

ブローカーやりたい放題ですね。
親父は殺すは、娘は拉致るは、ちなみにアリーの父親は殺されますが、死体は放ったらかしでとりあえずアラスカに向かいます。
死体を片付けなさいよ!
その後、アリーはブローカー達に無理やりアラスカ行きの船に乗せられるのですが、ブローカーの1人と良い仲になって、結構楽しそうにします。
状況的に襲われてもおかしくないシチュエーションなのに、妙なところで紳士です。

一行は無事アラスカに着くのですが、本作はロケという概念がないらしく、雪山のシーンも背景は写真で、後は雪山っぽい大道具で誤魔化します。
足元なんて写しちゃうと雪が無いことバレちゃうので、カメラは固定で、雪山の写真をバックに普通に歩き回るという、一体なぜこんなにも低予算で作ることになったのか、製作時の苦労を鑑みると涙が出そうです。
作られたの公開が2006年ですよ。
同時期にジョニーデップが海賊として海で暴れ回っていたのに、一方ではこんな映画が同じ国で作られていたという事実に驚きがかくせないです。
見ていて製作陣の「もう止めよう?」という声が聞こえてきそうですね。

全体の半分を越えたあたりでようやくアイスコングが出てきます。
言えるのは、以前名画座で見た獣人雪男の方がまだ迫力があった。
ラスト近辺でブローカーが「このぬいぐるみ野郎!」と叫ぶシーンでは、言ってはいけないことを言ってしまった感があってよかったです。

同じキングコングオマージュにはクイーンコングがありますが、そもそも映画として面白くないので、カルト的人気があるクイーンコングとは比較にもならず。
これが噂に聞くZ級映画というやつなのでしょうか。