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闇のバイブル 聖少女の詩のninjiroのレビュー・感想・評価

闇のバイブル 聖少女の詩(1969年製作の映画)
2.8
このガーリィ感は一体?

特集 パンチの効いた子ども達 5


ソフィア・コッポラの監督デビュー作にも共通して感じられるこのガーリィ感は、きっと女の子を可愛く撮ろう、女の子の生活・風俗を詩的に時にキッチュに切り取ろうという試みに、全てが注力された結果かと。

本作はその様な陽光キラキラの下で煌めく思春期真っ最中の女の子の美しさに加えて、ゴス女子の大好物である不思議感と病気感をいっぺんにパッケージした欲張りセットなのです。

主人公が訳のわからないストーリーに翻弄されまくる様は、また同じく不思議系女の子の古典である不思議の国のアリス、血を求める怪人の下りはゴスの教科書ヴァンパイアや、その他あらゆるお姫様が出てくるおとぎ話の、それぞれ雑なヴァリエーションともいえ、色々と刺激的な映像や表現は出てくるものの、これは完全に個人的主観であるが、私にとっては全てに於いて悪ふざけのパロディーのような風味が拭えず、終始居心地が悪かった。

肝心のゴスロリ的な美術、表現に付きまとう既視感は、恐らくこの作品から派生したフォロアーに如何に我々が馴れ親しんだかというバロメーターだろう。

なんとなくこの不思議感について行けず、ゴスにもロリにも完全に置いて行かれた私には、やはりどうやってもガーリィ的要素はなかったのだと勝手に安心してみたり、しかし、1969年というほぼ半世紀も前の時代に製作された映画にして、主人公ヴァレリエや花売りの少女の、まさしく「物語の中の少女」という形容が相応しすぎる天真爛漫さや容姿の美しさには、映画自体の出来には色々と腹に抱える物がある私をも完全に魅了する、抗い難い魅力がある。
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