ロリータ映画は「小さな悪の華」しか見ていないが、1969年製のそれと1970年製の今作でこうも内容が変わってくるのか、というのが第一だ。
どちらも初潮を迎えた幼い処女の、良くも悪くも無邪気な純粋さ、大人になっていくことの恐怖と好奇心、自身を取り巻く退屈で窮屈な環境への抵抗、これらの要素を幻想的に、そして頽廃的に描いた作品だ。しかし小さな悪の華ではゴシック要素を散りばめながらも話はギュッとまとめあげられていた。今作は端的に言うのなら白昼夢。
話の連続性なしに抽象的なシーンがバンバン流れるので、理解するのではなく心に染み込ませるべきといったところ。蜷川実花の「さくらん」、「ヘルタースケルター」が赤を基調とした画面作りを彷彿とさせる真っ白な画面、それによって赤色が映える絵画的な手法。耳飾りや真珠、いたちに鶏といった様々な意味を内包したアイテムの数々も面白いところ。
ただ、個人的に吸血鬼要素があんまりいらなかった気がするな~ 「血」が初潮のイメージと重なるのはわかるんだけど絵面的にチープで楽しめなかったな~
まあ見る人によって幽玄の世界にもただの雰囲気映画にも見える作品でした。
(邦題はわけわかんないけど絶妙に中2臭くて惹かれてしまったので叩けないです)