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祖国アフリカのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

祖国アフリカ(1986年製作の映画)
3.0
【ブルキナファソの巨匠イドリッサ・ウエドラオゴ長編デビュー作】
貴方は、ブルキナファソという国をご存知だろうか?

ブルキナファソは北アフリカに位置します。1984年まではオートボルタと呼ばれていた国で、モロッコのカサブランカ ムハンマド5世国際空港から3時間で行くことができます。そんな国ブルキナファソに映画の達人イドリッサ・ウエドラオゴがいます。昨年2018年2月に亡くなってしまったのですが、ブルキナファソの部族問題に纏わる作品を発表し続け、『掟』でカンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ、『Samba Traoré』ではベルリン国際映画祭特別銀熊賞を受賞しています。

そんな彼の長編デビュー作『祖国アフリカ』を観ました。どうやら昔TBSで放送されていたようですね。

さて物語は、少女イッサが男と関係を持ち妊娠してしまうというものです。父親は娘の妊娠に腹を立てて、家から追い出そうとします。しかしながら、彼女が陣痛で段々苦しみはじめるのをみて考えを改めていきます。

ウエドラオゴ監督は、『掟』で村に帰郷した青年が、伝統によって恋人を奪われ、絆すら壊されてしまった世界を描き、『Samba Traoré』では罪に対して後ろめたさを抱く青年を描いてきた。小津安二郎映画のような、しがらみというのを空気感で伝えていくスタイルは非常に興味深いものがあります。

とはいえ、本作にはまだ『掟』のような力強いドラマがあるわけではなく、アフリカの風景という物珍しさでごり押ししている印象が強く、そこまで面白くなかったというのが正直な感想。やはりウエドラオゴ映画入門としては『ヤーバ』や『掟』をオススメしたい。
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