しゅん

愛と殺意のしゅんのレビュー・感想・評価

愛と殺意(1950年製作の映画)
-
雨降りのぬかるみを傘差さずに歩く男女には最初から晴れの気配がなく、その後も水辺を歩き、橋の下から川を眺める。溝に転倒して動けなくなったマセラッティのように、過去から這い出せないという事実に絡め取られる。彼らの過去を暴かんとする探偵の時間が恋愛劇に絡まり、富豪やモデルからの視点も混じる錯綜した群像構成が今の感覚だと入り込みやすいのかも。移動カメラがやっぱり特徴的だったな。テニスボールの壁打ち、どんどん変に(=エレガントに)なっていく帽子、重たい扉をゆっくり閉めて行く老いた門番。足音のエコーと、窓から外を眺める時の一瞬の無音も印象深い。
しゅん

しゅん