怒りの日の作品情報・感想・評価

「怒りの日」に投稿された感想・評価

もた

もたの感想・評価

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このレビューはネタバレを含みます

司祭が若い妻を娶っている時点で立場が危ういのに、若妻の方も息子に熱をあげて夫にはおざなりな態度になるからもういよいよカスみたいな状態になって呆気なく死んでしまう。魔女狩りは当時のナチスであり、現代のあらゆる根拠のないレッテル貼りでもある。でも作品は魔女の存在自体否定してないように取れるのが面白い(もちろん問題はそこではないのだけど)。老婆が火炙りにさせるところで子どもたちが練習の成果として歌声を披露するので残酷さが際立ってる。
mingo

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4.2
アンネは親子ほど歳の離れた司祭と結婚し、自分より歳下の前妻の息子が帰還することで物語は展開するが、アンネは当たり前のように彼を誘惑し禁欲的な司祭官と官能的な野外のデートをする。撮影、照明、音響が完璧とはまさにこのこと、鳥肌ものの映画体験、あまりにも恐ろしくあまりにも素晴らしい。
映画男

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4.3
素晴らしい。すべて美しい。魔女狩りはユダヤ狩りの暗示。ナチス時代ゆえに危害恐れタイトルキャストスタッフすべてクレジットなしという、稀有な傑作。
 前作『吸血鬼』(1932)から10年以上経っての新作。この間、いろいろ企画はあったが実現しなかったらしい。こういうことは、(とりわけヨーロッパ出身の)偉大な監督では珍しくない。
 今回の題材は魔女で、『吸血鬼』同様に実在が不確かなものを選んでいる。ドライヤーの演出は明らかに、両義的なもの、真偽不明なもの、超常的なものの表現にこだわっている。
 本作の陰影の使い方はドイツ表現主義映画の影響が見て取れるが、ドライヤーはこの明暗法にも並々ならぬこだわりを見せたことで知られる。本作でも、暗い室内で沈思黙考する老人と、白樺林や草原で遊ぶ男女は並行モンタージュで対比されている。ロウソクが作り出す光と影が、ヒロインや夫の顔をくっきりと浮かび上がらせる。
 『裁かるるジャンヌ』では、壁を黄色く塗ることでモノクロにしたときに一層白く輝かせたという。本作で輝くほどの白さを目撃できるのがラストシーンである。葬儀の場面で魔女と告発された未亡人が(まるで花嫁のように)眩いほどに白い衣装に身を包み、彼女を告発した故人の母は黒い喪服を着ている。ここでは、両者の役割と色が本来もつ象徴性が矛盾しており、この「白黒つかなさ」は最後まで解決されない。
 
 映画は、「魔女の力」のような超常的な力、人智を超えた力を見極めようとしている。魔女として処刑される女性の予言の力。男と女を互いに惹きつける愛の力。敬虔な牧師でさえ知らず知らずのうちに突き動かしていた欲望の力。老牧師を殺す言葉の力。こうした様々な力の係争の結果、運命という名の判決が下されるのが、本作のストーリーである。
 それでは映像はどうだろうか。この力の働きはスクリーンにどのように現れたのか。ドライヤーが後年「流れるクロースアップ」と呼んだ、人物の横移動をパンかドリーで追いかけるショットが、この映画には出現している。これはアップではなくせいぜい胸から上なのだが、このショットがヒロインを捉えるとき、『ジャンヌ』における正真正銘の「固まったクロースアップ」と同じ狙いが見て取れる。精神のようなものを掴まえようとしているわけだ。まさしく、これらのショットにおいて、ヒロインの表情に魔性を感じないわけにいかない。つまり、『ジャンヌ』同様、本作の関心も顔に当てられているのは確かである。
 しかし、『ジャンヌ』と違い、ヒロインの動作をすべて映し出すことには、時間に対する作り手の強い意識をも感じる。なぜなら、このヒロインは変容するからだ。伏し目がちな乙女が、恋に目覚めて女性となり、野心を抱く魔女になる。映画はその変容を捉えたい。すると、自ずとショットは全体的になり持続的になるはずである。蓋し変容とは時間的な出来事であり、したがって映画的な出来事といえる。
 時間に対する意識はストーリーにも表れていると言うことができる。目に見えない力とは畢竟「運命」のことであり、運命とは時間による神秘的で残酷な働きに他ならないからだ。
pherim

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4.4
魔女裁判と覚醒する牧師妻。ナチス下のデンマーク1943年、魔女狩りに母国の苦渋重ねたカール・T・ドライヤ―真正の気骨作。

壁面に揺らぐ焔、湖水にかすむ霧さえも計算し尽くされたモノクロームの鬼気迫る様式美。生半可なホラー表現よりこの精神極限は恐ろしい。

#シネマヴェーラ渋谷
教会の白い壁のみならずデンマーク人女性の白い顔も影を映すための場所として使い切る。冒頭の挨拶がわりの長回しの時点で素晴らしい。鐘の音や時計の針の音や雨風の音など音使いもすごくいい。
buccimane

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4.0
重厚な作品に違いないと思いきや嫁姑のバトルとかけっこう俗だな〜。
パパ司祭がこれから火あぶりになるおばさまに心は寄り添ってるから見捨ててるわけではないと言うのウケた。
山羊のチラ映りも思わずメロイックサイン出る。
登録忘れてた。『裁かるるジャンヌ』よりしっくりきたかも。魔女狩り裁判がはびこる緊張感の中で、牧師の若い妻は両義的な揺らぎを最後まで崩さない。俗聖の不確定な世界で、そっけないパン移動に光と影の対照が重なってなんだかすごい力になる。禁じられた恋仲の二人がボートに乗って、曲がった大木の映る湖面を眺めるところも印象的。そして全員顔が強い。また観たい。
c5

c5の感想・評価

4.0
◯シネマヴェーラ「本当に怖いのは怪物か人間か?」特集よりカール・テオドア・ドライヤーの『怒りの日』。最終上映に滑り込めてよかった。

◯魔女狩りを扱いつつナチス支配下のデンマークを描いているそう。魔女裁判や火あぶりのばかばかしさ。あんないくらでも捏造可能な状況でそれでも口を割らさせようとして。

◯呪いを信じている人にとっては呪いは実在さるからね。思い込みって恐ろしい。

◯でも一番怖いのは、やっぱりアンネだったかな。
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