Mikiyoshi1986

気のいい女たちのMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

気のいい女たち(1960年製作の映画)
4.2
6月24日はヌーヴェルヴァーグを支えた映画監督クロード・シャブロルのお誕生日。
存命ならば今日で88歳に。

『大人は判ってくれない』のフランソワ・トリュフォー、『勝手にしやがれ』のジャン=リュック・ゴダール、
そして『気のいい女たち』のクロード・シャブロルが本国フランスでは"三大ヌーヴェルヴァーグ"とも称されてたりしますが、
美しいパリジェンヌ4人を描いた本作は若きシャブロルの瑞々しい才能とサディスティックな風合いがとても印象的な作品であります。

ナンパしてきた男たちと飲み歩いてそのまま3Pとかしちゃう奔放娘ジャンヌをベルナデット・ラフォン。(トリュフォー『あこがれ』のヒロイン!)
アンニュイな雰囲気満点で、つけ回す謎のバイク男に惹かれちゃってる大人しいジャクリーヌをクロチルド・ジョアーノ。
仕事が終わるとそそくさとどこかに消えてしまう歌手志望ジネットを今年3月に他界したステファーヌ・オードラン。(後にシャブロルの妻に)
婚約者の両親との面談にソワソワしっぱなしのリタをリュシル・サン=シモン。

彼女たちが勤める家電店では倦怠的な時間を空費し、終業と共に思いっきり羽を伸ばし、それぞれが愛だったり男だったり夢だったりと理想を追い求めます。

下品なナンパ師コンビがとにかくうざかったり、マダム・ルイーズの秘密のお守りがなかなかブラックだったり、
パリの夜景、動物園、謎めいたバイク男の正体など、撮影監督アンリ・ドカの天才的なショットがストーリーに一層の"ヌーヴェルヴァーグらしさ"を添加してくれます。

独身パリジェンヌたちの等身大の今を切り取りつつも、影を落とす急転直下の辛辣さは胸焼け必至。
アンビバレンスなラストが癖になるシャブロル初期の代表作です。

国内では長らく廃盤状態でしたが、来月ようやくBlu-ray化が実現!!
ルイ・マルとかブニュエルの作品も同時発売するので散財は覚悟しなければなりません。
Mikiyoshi1986

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