のび

のびの感想・レビュー

2017/03/18
3.8
映画『ナポレオン・ダイナマイト』は、ぱっとしない田舎のぱっとしない高校生たちの友情を描く物語。よくある安っぽい青春映画のような、さわやかな友情や甘酸っぱい恋愛で彩られた、ある意味では”理想化”された青春とは対極にある高校生たちの日常生活を本作は描き出す。

ぱっとしないように見える日常生活は、ナポレオンたちにとっては実にシリアスでリアルな日常に違いない。過去にとらわれ、未来を夢見て、ぱっとしない現状に思い悩む。だからこそ本人たちは必死なのだが、その必死さがわたしたちの目から見ればコメディ的なおかしみさえもたらす。

ぱっとしないけれど、シリアスでリアルな日常。そんな日常の中で本人たちは必死だが、どこかずれている。それはある意味では、わたしたちの日常そのものだ。だからこそ、はじめは違和感や不安を抱きながら物語を眺めていても、わたしたちは少しずつ目の前の物語に引き込まれ、いつの間にかナポレオンたちを応援し、喜怒哀楽をともにしているのだ。